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《不可解判定に物議》スノーボード竹内智香が北京入り直前に語った“6度目の五輪”への本音…2年半の休養と卵子凍結の決断を経て
posted2022/02/09 11:02
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
日本人女子最多の6大会連続出場の竹内智香(38歳)が北京五輪のスノーボード女子パラレル大回転に登場した。
2本の合計タイムで争う予選を通過し、迎えた決勝トーナメント1回戦。平昌五輪で銅メダルを獲得したラモナテレジア・ホフマイスター(ドイツ)との対決で、竹内はバランスを崩して転倒し、相手選手もつられるように転倒した。両選手ともに立ち上がって竹内が先着し、一度は竹内の準々決勝進出が発表されたが、レース後の審議の結果、転倒の際に妨害していたと判定され、途中棄権扱いで敗退が決まった。
「4年に1度の舞台で全力を尽くしましたし、ベスト8に上がったと思ったんですけど……。もう1度選手として戻ってきたこと、この舞台にいられたことは本当にうれしいです。ただ、終わり方が若干不完全燃焼というか、納得はできないですね」
インタビュアーの質問に気丈に答えてはいたものの、その表情は悔しさでいっぱいだった。
平昌大会後、はじめての長期休養へ
ソチ五輪銀メダリストの竹内は、前回の平昌五輪後、はじめて長期休養に入った。ソチからの4年間は全治10カ月と診断された左膝前十字じん帯断裂の大怪我とも向き合い、とくに平昌前の最後の1年は大きなストレスとも戦った。当時34歳。年齢的にそろそろ限界なのではと、2年半の休養の間に引退も頭をよぎった。
休養している間はスキーを楽しみ、競技普及や育成にも携わった。自分と向き合う時間が増えたことで、気持ちがリセットされた。スノーボード選手であることの素晴らしさを再確認し、いつしか自然と戦いの場へ向かう覚悟が出来ていた。
そして20年8月に復帰した。
一方、彼女は1人の女性として、年齢を重ねるほど妊娠しにくくなる現実にも向き合っていた。選手として復帰するのであれば、38歳で迎える北京五輪まで妊娠は考えられない。最低でも2年、競技から離れなければならないからだ。