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“ペアが日本の弱点”という声も…りくりゅう・木原龍一29歳が晴らした8年分の悔しさ「自分が強くならないと勝てない」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2022/02/08 06:01
悲願のメダル獲得を果たした日本、フィギュア団体チーム。それぞれが最高の演技を見せたなか、光ったのはペアの三浦璃来・木原龍一だった
それぞれ自己ベストを更新。団体戦最終日7日のフリーでは、ペアの強豪国中国の代表、彭程・金楊ペアをも上回ってみせた。そしてアイスダンス・フリーダンス、女子フリーを残し、3位以内とメダルを確定させたのである。その報を聞いた2人は、対照的な反応を見せた。
「すごい! やった!」
拍手とともに全身で喜びを見せた三浦に対し、木原は何かをかみしめるようだった。
木原にとっては、過去抱いてきた悔しさを晴らせた瞬間でもあった。
今大会の団体戦日本代表のうち、木原はただ一人、ソチ、平昌を経験している。つまり、「弱み」という指摘を正面から受け止めてきた当事者であった。
「過去2大会は、出させていただいている感じがものすごく、チームメートに申し訳ない気持ちがありました」
引退も考えていた時、出会ったのが三浦だった
現在は29歳の木原がペアでのスタートを切ったのは20歳のとき。決して早くはない。その中で早々にオリンピックにも出場してきた。当初、団体戦では、「シングルの強い選手の力でメダルを獲れるかも」という考えもあった。だが、いくらシングルに強い選手がいても、すべてはカバーしきれない。両五輪の個人戦でもフリーに進めない順位にとどまり、力のなさを痛感した。
平昌時のパートナーとはおよそ1年後の2019年4月にペアを解消。ペアへの適性にも疑問を感じ、引退も考えていた。
そんな時に出会ったのが、三浦だった。
「最初に滑った瞬間から、絶対にうまくいくと確信しました」
トライアウトのとき、「言葉では言い表せない(ほど良い)相性」を木原は感じた。
それは木原だけではなかった。のちに三浦もこのときを振り返って、こう話している。