オリンピックへの道BACK NUMBER
「悔しがる場所にも立てていない」宇野昌磨が震える声で語った日…国別対抗戦で見せていた“団体戦への強い責任感”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2022/02/05 06:02
3日北京五輪のフィギュアスケートが開幕。団体戦で日本勢トップバッターを務めた宇野昌磨は自己ベストを更新する会心の演技を見せた
宇野が繰り返した「真剣に謝ろう」という言葉
今回はオリンピックという舞台での団体戦だから、なおさら責任は自覚していただろう。そして練習は納得のいく形でできていたから、それを発揮できれば果たせる、という思いもあった。それをうかがわせるのは、団体戦前日、演技練習を終えたあとに語った、ほぼ同じ言葉だ。
「最善を尽くしたいと思いますし、だめだったら、真剣に謝りたいと思います」(前日)
「(チームに)迷惑をかけたくない思いはありましたが、後ろ向きな気持ちで臨むのはいやだったので、その気持ちは切り分けて、失敗したら真剣に謝ろう、と思っていました」(演技後)
「真剣に謝ろう」という言葉には、責任感の強さと誠実さがあり、「最善を尽くして、だめだったら」には、最善を尽くせるだけの準備はしてきたというニュアンスがある。
結果、宇野は自己ベストとなる演技を披露し、チームに大きく寄与した。
しかも、まだ伸びしろはある。
まだまだ得点は伸びる「とりこぼしがあるんじゃないか」
宇野が細かな採点結果を見る前に「とりこぼしがあるんじゃないか」と語ったように、スピンの1つとステップは4段階あるレベルの中の「レベル3」だ。レベル4であればより得点を伸ばせるし、表現面もまだ変わっていける。
その点も含め、好発進と言える演技だったのが団体戦のショートプログラムだった。ここで得た手ごたえと課題は、個人戦へとつなげていける。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。