- #1
- #2
ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「選手のクオリティはサウジのほうが上だった」トルシエが分析する、それでも日本が難敵を完封できた理由とは?
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/02/05 17:02
辛口のトルシエにしては珍しく、サウジ戦での日本の戦いぶりを「順当な勝利だった」と振り返った
――30分過ぎでした。
「カウンターアタックからの得点で、心理的にも優位に立てた。ただ、日本は、個の能力に関しては優れていたわけではない。偉大なチームという評価は下せないが、コレクティブなメンタリティでとても優れている。伊東を除き才能を感じさせる選手はいないが、連帯感に溢れたチームだ。この連帯感があるから、最終予選のスタートで出遅れてもここまで回復できた。その後は着実に勝利を積み重ねて、中国とサウジアラビアにも無失点で連勝した。スーパーなチームではないし、偉大な才能がある選手もいない。だが素晴らしいメンタリティでこの試合を勝ち切った。何事も疎かにはせず、試合全体を振り返れば堂々たる勝利だったといえる」
大迫は気に入った。田中も守田も
――その点はルナールも認めていて、日本が勝利に値したと言っています。
「さまざまないい面が見られた。テクニックもそうだし、とりわけコレクティブな面においてそうだった。狭いスペースでも俊敏にプレーし、プレーのスピードも申し分なかった。センターバックふたりを欠いた守備も安定していた。
大迫は優れた選手で私は気に入った。それから中盤の田中(碧)や守田(英正)も」
――今日の日本は中国戦よりも良かったのでしょうか?
「そういう風には言えないが、日本はさらにレベルを上げることができた。忘れてならないのは、サウジアラビアは経験豊富な素晴らしいチームであることだ。ワールドカップにも多く出場し、最終予選のスタートも素晴らしく、ここまでアジア最強チームの存在感を見せつけていた。
一方、日本はチームをレベルアップする術を心得ていた。中国戦は自分たちよりもレベルが低い相手との試合であったのに対し、サウジ戦は日本がサウジという強敵を破ったビッグゲームだった。アジアのトップチーム同士の大一番で、日本は左右のバランスが中国戦よりもよくなっていた。長友のパフォーマンスが向上して左サイドが強化され、いい試合ができたと思う」
<後編に続く>