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水着に集まる視線「胸が嫌で嫌でしかたがなかった」 女子水球代表だった成宮涼(29)が壮絶な治療の末、歌舞伎町ホストになるまで 

text by

平田裕介

平田裕介Yusuke Hirata

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/02/07 11:02

水着に集まる視線「胸が嫌で嫌でしかたがなかった」 女子水球代表だった成宮涼(29)が壮絶な治療の末、歌舞伎町ホストになるまで<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

歌舞伎町のホストクラブ「TOPDANDY V」に所属している現在の成宮涼

ーー同僚の方は、涼さんがFTMであることを知ると、どのような反応を。

成宮 みんな一様に「え、嘘でしょ!」とは驚きますね。そこで昔の写真を見せると、さらに驚いて盛り上がるという。お客さんの反応も一緒ですね。

ーーバーテンダー時代に「頑張った分だけ自分に入ってくる」ことが自信になっていたお話をされましたが、持ち前のストイックさも相まって、ホストの仕事は涼さんにとってしっくりきたのでは。

成宮 合っていますね。昼の仕事もしていて思ったのが、どんだけ真面目に頑張ろうが変わらないなって。やっても、やっても、給料も待遇も同じまま。それがバーテンを始めたら、頑張った分だけ入ってきて「あぁ、楽しいな」って。ホストになってからは、その想いは一層強いですね。また、他のホストも仲間でライバルであるので、部活的なノリで切磋琢磨できるというか。そういう面でも、気持ちは楽ですよね。

ホストクラブは“男”を先鋭化させた世界

ーーホストクラブは“男”を先鋭化させた世界でもありますが、そこに身を置くことでどこか“男”を強調してしまうところはありますか?

成宮 うーん、男の出し方がわからなかったりしますね。たとえば、「初めてお店に来た女の子には、がっつけよ」と言われるんですけど、その「がっつく」がどういったものなのか感覚的にわからない。簡単に言えば恋愛対象、さらに強めかつストレートに言えば「抱きたい」みたいなことなんだろうけど。だけど、「抱きたい」と来られて女の子は嬉しいかと考えたら、ちょっと違うんじゃないかって。女の子って、自分の好みなタイプや好きな人じゃないとそう思われたくないから、僕はそういったアプローチはできないんですね。

ーー“男+がっつく”となると、高校時代に成宮さんが紹介された男子が連想されてしまうといいますか。

成宮 そうそう(笑)。だから、僕は気持ち悪いボディータッチや下心満載な雰囲気の接し方はしないです。逆にそれを武器にできてるのかなって。実際、指名してくれるお客さんからいただく声で多いのは「話しやすい」「落ち着く」「癒やされる」「柔らかい」ですね。なんかこう、ホッとしてもらえるようで。

将来はLGBTの人が働ける店を持ちたい

ーーLGBTの人たちが働ける場所や受け皿になれるようなお店を持ちたいとのことですが、すでに準備を進めていたりは。

成宮 いまは人脈を広げることぐらいしかできていないです。自分のバーでもホストクラブでもいいんですけど、持てたらいいなと思います。僕らみたいな当事者たちの出会いの場も作れたら面白いかなって。そういう場所って、あんまりないんですよね。

ーー本来なら、今回のような趣旨でのインタビューもなくなるべきなんじゃないかと。FTM、元水球日本代表、現在はホストというところで我々も特別視してしまっているわけですから。

成宮 でも、僕らみたいな人たちが、ここまでできてるんだよ、ここまでやれるんだよ、頑張ってる、活躍してるってことが伝わるので。さらに、自分の声がいろんな人たちにもっと届けば、それはそれで僕の目標にも届くわけですから。

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“スポーツと性”の大問題「新体操教室でレオタードを出された瞬間に…」トランスジェンダーの水球元日本代表・成宮涼が苦しんだ幼少期

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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成宮涼

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