オリンピックPRESSBACK NUMBER
「自分は賞味期限が切れた人間」引退・入江陵介が1年前に明かした“どん底時代”…それでも34歳まで水泳を辞めなかった理由「パリ行きたかった」
posted2024/04/04 17:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Kiyoshi Ota/Getty Images
4月3日、背泳ぎの第一人者として日本競泳界を支えた入江陵介が、引退を発表した。
若い頃は「ロンドン五輪かリオ五輪あたりまで」と考えていた競技生活は、「まさか30歳を超えても現役として泳ぎ続けられているなんて……」と自身の予想に反し34歳まで続いた。
2008年北京五輪から計4度のオリンピックを経験したレジェンドは、今年3月の代表選考会で日本競泳界初の五輪5大会連続出場に挑戦。男子100m背泳ぎ、男子200m背泳ぎでいずれも派遣標準記録を突破することができず、パリ五輪出場の夢は叶わなかった。
「すっきりした気持ちと、どこか悔しい気持ちと晴れやかな気持ち……いろんな感情が混ざっていますが、ここまで大好きな水泳を続けることができて本当に良かった」
“引退”という一つの節目を迎え、笑顔を見せながらも時折、感情を抑えきれず、涙に声を詰まらせた。
「水泳とともに生きてきた人生だったので」
代表選考会直後は、ふとした瞬間に「明日から自分はどうやって生きていけばいいんだろう」と考えこむこともあったという。
「水泳とともに生きてきた人生だったので、正直、ここから水泳のない人生というものが思い浮かばなかったですね。すごくぽっかりと穴が開いたような感じで」
選考会の200mが現役最後のレースとなった。引退会見までの2週間は水に浸かることは「一切なかった」という。