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水着に集まる視線「胸が嫌で嫌でしかたがなかった」 女子水球代表だった成宮涼(29)が壮絶な治療の末、歌舞伎町ホストになるまで 

text by

平田裕介

平田裕介Yusuke Hirata

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/02/07 11:02

水着に集まる視線「胸が嫌で嫌でしかたがなかった」 女子水球代表だった成宮涼(29)が壮絶な治療の末、歌舞伎町ホストになるまで<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

歌舞伎町のホストクラブ「TOPDANDY V」に所属している現在の成宮涼

ホルモン投与での体の変化

ーーどのあたりで、体の変化を実感しました?

成宮 まず、5回目あたりで生理が完全に止まりました。それもデカいんですけど、声の変化も大きかったですね。6回目あたりまでは変声期の頃のカサカサした声になるんですよ。10本目以降、だんだんだんだん低くなって、話しにくくなるんです。すね毛は1年くらいして生えてきて、髭は最近になって濃くなってきましたね。

 それと、打つまでは感情の起伏が大きかったんですよ。嬉しくても悔しくても涙が出たし、なんの理由もなく泣き出しちゃったり、イライラしちゃったり。女性ホルモンや生理の影響だったんですけど、それが薄まっていきましたね。

ーーそれ以前の成宮さんは、生理をどのように受け止めていたのでしょう。

成宮 まぁ、面倒なことは面倒でしたけど、慣れてるっちゃ、慣れていたので。あまり深くは考えてなかったですね。僕は生理が重くて、ロキソニンを飲まないとやってらんなかったんですよ。だけど、しかたないと受け止めていましたね。

水着で胸に視線が集まり…「嫌で嫌でしかたがなかった」

ーーそして手術へと。

成宮 治療を始めて約1年後ですね。26歳で最初の手術、乳房の切除を国内で受けました。一般的に最初は胸の切除からなんですけど、胸があるのが嫌で嫌でしかたがなかったから嬉しかったですね。生理よりも嫌でしたから。やっぱり、女性の象徴というか、自分から見ても他の人から見ても「ああ、女性なんだな」って一目でわかる部位じゃないですか。加えて、僕は胸が大きくて、Eカップあったんですよ。体自体も厚みがあるほうだから、100センチくらい。乳房をギューッと押しつぶして目立たなくする下着を着けてたけど、苦しいし、夏場は暑いし。

ーー胸が大きかったゆえに、水着になるのが辛かったということは?

成宮 嫌でしたね。水着を着ること自体はそんなに気にはならなかったんですけど、視線が集まるのは勘弁してほしかったですね。男子も女子も一緒に出る試合や会場になると、「誰々の胸がデカい」とか話してるのがわかるんですよ。もう、すでに視線が向けられてるし。それが気持ち悪くて。

ーービーチバレーや新体操などでも、そのあたりは問題になっていますよね。

成宮 そういう観客もファンであり、彼らみたいな人たちもいるから成り立っているみたいな考えもありますけど。女性選手がアイドルみたいな。でも、なんであろうと選手本人は不快な思いをしてますよ。「美人すぎる」「胸がデカい」「スタイルがいい」が褒め言葉だと思ってること自体が、ちょっと違うんじゃないかなって。人によっては「きれいだね」って言葉を不快に捉えているかもしれない。スポーツですから、そこを評価されてもなって。

【次ページ】 元水球女子日本代表がホストになったワケ

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成宮涼

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