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グラウンドが消灯してもスマホの光で夜練習…“忙しすぎる早大生箱根ランナー”はどんな時間割を過ごしていたのか? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byYuki Suenaga

posted2022/01/31 17:25

グラウンドが消灯してもスマホの光で夜練習…“忙しすぎる早大生箱根ランナー”はどんな時間割を過ごしていたのか?<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

今年の箱根駅伝、早大で4区を任されたのは1年生の石塚陽士選手。教育学部理学科生物学専修で、この1年間は文武両立の忙しい日々を送ってきた

 石塚のある1日の過ごし方を、時間割にしてみた。1時限から4時限まで授業がある水曜日を想定している。

 睡眠時間は23時からに寝て早朝5時には起床と、アスリートとしては少し短い気がするが「どう頑張っても、これ以上は時間を削ることができないので、しょうがないですね」。なかなか多忙な毎日を送っている。これだけハードでも、練習をきっちりこなし、その上、ケガをすることもなく1年間を送ることができたのだから、なかなかのタフネスぶりだ(NumberWeb以外でご覧になっている方は、「写真ページ」からご覧ください)。

 早大では水曜日にポイント練習(強度の高い大事な練習)を行っているが、この日も、石塚は4時限まで授業がある。

「授業が終わるのが午後4時15分なので、帰ってくると、どうしても6時ぐらいになってしまう。そこから練習しています」

 秋分を過ぎて冬ともなると、石塚が練習を始める頃にはもう日が沈んでいる。競技場には照明があるが、19時には消灯となるため、相楽豊駅伝監督やマネジャーらスタッフがスマートフォンの明かりを照らすなか、石塚は練習をこなす。したがって、一人で練習することも多く、“怪我の功名”というほどではないかもしれないが、結果として、単独走が得意になった。

 難しい状況でタスキを受けたのにもかかわらず、1年目から箱根でしっかりと力を発揮することができたのは、一人で走り込んできた成果の現れでもあった。

 趣味が“プログラミング”というのも理系学部っぽい。

「どこかしらエラーが起きてしまうことが多いのですが、どこがエラーなのかを考えて修正し、うまくハマった時は楽しいです。改善点を見つけて修正していくという作業は長距離に似ている」

 ランナーとしての持ち味が“安定感”であるのは、こんなところに秘訣があるのかもしれない。

「1500mだけの選手にはなりたくない」

 早大系属の早稲田実業学校出身の石塚は、高校時代に1500mで高校歴代3位(当時)の好記録をマークしたスピードランナーだ。大学に入ってからも、前半戦は1500mを主戦場とし、夏から距離を延ばして、駅伝シーズンに向けて走り込んできた。

「1500mだけの選手にはなりたくない。1500mから20kmぐらいの長い距離までマルチに活躍できるランナーを目指しています」

 高校時代までは駅伝で約8kmを走ったのがレースでの最長距離だった。そこから、大学では長い距離にも適応し、出雲駅伝は4区(6.2㎞)で区間賞。初めて10km超のレースに挑んだ全日本大学駅伝は5区(12.4km)で区間4位の力走で、先頭を奪う活躍を見せた。そして、箱根でも、20.9kmを1時間2分20秒と1㎞3分を切るペースで走り切り、区間6位と好走した。

【次ページ】 「箱根でいえば、2区を視野に入れて……」

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