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グラウンドが消灯してもスマホの光で夜練習…“忙しすぎる早大生箱根ランナー”はどんな時間割を過ごしていたのか?
posted2022/01/31 17:25
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Yuki Suenaga
今年の箱根駅伝で総合13位に終わった早稲田大は、1区から出遅れたが、一度だけシード権圏内に浮上した場面があった。それは往路の小田原中継所。4区・石塚陽士から5区・伊藤大志へ、1年生同士のタスキリレーの場面だ。
「本来であれば、3区まで良い流れで来て、僕のところで順位を押し上げて総合優勝に向けて勢いを加速させる、というイメージを思い描いていました。
ですが、想定よりもだいぶ遅れていて、シード権争いという状況になっていたので、シード権のラインまでは最低でも押し上げようと思って走りました」
チームがなかなか勢いに乗れずにいるとき、走者も悪い流れに飲み込まれ力を発揮できないケースが多々ある。その点で、石塚は、予想外に後方からスタートすることになっても、慌てることはなかった。むしろ、1年生とは思えないほど冷静に走り出した。
「もう少しまとまった集団でくると思っていたのですが、単独走になったので、(集団の流れに任せるのではなく)前半はある程度ゆったり目に入ろうと思いました。4区は、後半にアップダウンがあり難しいコースなので、失速だけは避けたかった。
前半はあまりタイムを気にし過ぎずに、突っ込み過ぎることもなく、リズムよく走る。後半10kmはいかにペースを落とさないか、余裕があればペースを上げようと意識して走りました。最初の10kmはだいたいキロ2分58秒ペースで入って、29分30秒ぐらいで通過できたので、だいたいイメージ通りに走ることができました」
“理論派”を自認する石塚は、多少のレースプランの変更はあっても、思い描いたレースプランを遂行してみせた。往路の準エース区間と言われる4区で区間6位と好走し、3つ順位を上げる活躍だった。
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