炎の一筆入魂BACK NUMBER
「タイプが全く違う選手と一緒にやることで…」大瀬良大地と森下暢仁、カープの2人のエースが“異例の合同自主トレ”に踏み切ったワケ
posted2022/01/31 11:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
2022年1月、広島投手陣の両輪を担う大瀬良大地と森下暢仁が、二人そろって新シーズンへ向けた第一歩を踏み出し、チームメートの大道温貴、山口翔、戸田隆矢とともに、沖縄で19日まで合同トレーニングを続けた。
今ではプロ野球の選手が他球団の選手と合同自主トレをすることも珍しくなくなった。ただ意外にも、同じ球団内の主戦級同士が自主トレをともにする、という話はあまり聞かない。
森下は3年目とはいえ、すでに若手の枠に収まっていない。昨年は2年連続ニ桁勝利こそ逃したものの、東京五輪では侍ジャパンの先発として米国との決勝戦に登板するなど、先発2戦2勝で金メダル獲得に貢献した。シーズンは8勝に終わったが、クオリティースタート率79.2%は、大瀬良に次ぐリーグ2位だった。
自分のペースで調整していくことも選べた中で、大瀬良との調整を望んだ。
「違うタイプ」だからこその学び
「マイペースでやるのはいいと思うんですけど、大地さんがどんな練習をしているのか気になっていたんです。自分ひとりでは新たな引き出しができないなって」
入団からずっとその背中を見てきた。昨オフは大瀬良がリハビリ中ということやコロナ対策で選手同士の接触機会が制限されていたこともあり、トレーニングを共にすることは叶わなかった。大瀬良との合同トレは2年越しの願いであり、ごく自然な流れだったのかもしれない。
大瀬良は言う。
「他ではあまりないことかもしれませんけど、逆にそれがいいなと思いました。僕にとってもレベルの高い、タイプがまったく違う選手と一緒にやることで新しい学びがあるかなと思った。暢仁もたぶんそういう感じなんじゃないかな」
入団時から多くの時間を過ごし、互いのことを理解し、認め合っている。表情を変えることなく、大瀬良は続けた。「もう能力的には上だと思いますよ」。意外なほどにあっさりと、その能力を認めた。ただ「キャリアや経験で勝負できる。教えられることはまだあるかな」とも言い切る。揺るぎない自分という物を持っているからこそ、互いを尊重し合えているのかもしれない。