甲子園の風BACK NUMBER
大阪桐蔭に受け継がれる主将の系譜…168cmの新キャプテン星子天真に勇気を与えた「福井さん」《昨秋は公式戦負けなし》
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2022/01/28 17:03
大阪桐蔭の新キャプテンを務める星子天真。先輩のアドバイスをもとに、センバツ大会に臨む
大阪桐蔭では年末になるたびに歴代のOBがグラウンドを訪れる。そのたびに現役生は偉大な先輩の話を聞くことができる。その際に多くの印象的な言葉が星子の脳裏に余韻を残していった。
「年末に福井さんが来られた時、直接話をさせてもらう機会があって、コミュニケーションを大切にされていることを聞きました。自分は主将になりたての頃、自分のことで精いっぱいでした。周りに厳しいことを言う余裕もなくて、“ダメだと思ったことを相手が納得するように伝えるにはどうしたらいいのですか”と聞いたんです。そうしたら、相手を巻き込むように話すといいと言われました。
話す前は、福井さんはガチっとした真面目な方だと思っていたけれど、実際に話したらすごくユーモアの溢れる方でした。自分とは年が離れているのにすごく話しやすかったんです。それは福井さんが僕の目線に合わせて話してくださったから。そういった相手への接し方もすごく勉強になりました。チームが変わることを考えると、自分も変わっていかないといけないとも思っています」
一方的に自分が言うのではなく、相手の意見も聞きながら自分の意思も伝える。それはこまめに行うミーティングも同じだ。そうやってチームの風通しを良くし、意思の疎通を図ってきた。
試合でも二塁のポジションから小さな体をいっぱいに動かしてジェスチャーをし、大きな声で状況確認をする。泥臭く、粘っこく。西谷監督もよく口にする言葉を、星子キャプテンが言動で示して見せていた。
昨秋は公式戦負けなし
大阪大会では苦しいゲームもあったが優勝。近畿大会、明治神宮大会も制して昨秋は負けなしで公式戦を終えた。だは、星子キャプテンはまだまだ安心できないと話す。
「秋の大会で経験を重ねるうちに心の余裕はできてきたと思います。ただ、秋にああいう形で目標だった日本一になると、春への気持ちの持っていき方は難しいです。自分たちが日本一になったことで自分たちを目がけてぶつかってくるチームもある。でも受け身にはなってはいけないと思います」