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ソチ、平昌、そして北京へ…3種目出場の高木菜那、“集大成”のレースへ「オリンピックでメダルを2つ取ったプレッシャーはなかった」《室伏広治氏に師事》
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKYODO
posted2022/02/02 11:00
北京五輪に臨む高木菜那。2月7日の女子1500m、15日に決勝がある女子チームパシュート、19日の女子マススタートの3種目に出場
「ワールドカップ(W杯)に行けない1年間、世界と戦えない1年間があったことで、今シーズンは開幕に向けてしっかりと気持ちを入れていきたい、北京五輪を真剣に目指したいと思いました」
心技体、機は熟した。室伏氏とのトレーニングで体の連動性が向上し、効率的にスピードを上げる滑りが身についた。成果が現れたのは、今季W杯第4戦での女子1500メートル2位という成績。13-14年シーズンにW杯に初参戦してから9シーズン目で、同種目で初めて表彰台に上がった。
「速くなりたいという思いで4年間やってきた」
前回の五輪では2冠に輝いた菜那だが、「オリンピックでメダルを2つ取ったプレッシャーはなかった」と振り返る。
「2つ取ったからどうなのだろうということを考えている時に、本当に自分が一番速いのかというと、そうではないと思っていた。だからプレッシャーになったことはない」
相対評価とは一線を画した、自分自身の内側に持つ絶対評価。それが今の菜那の評価軸だ。
「ソチ五輪は“オリンピックに出たい”という気持ちで挑んだ大会。平昌五輪は金メダルを取りたいという思いで戦った。速くなりたいという思いで4年間やってきた今回は、感謝の気持ちで北京という大きな舞台に立ち、最高の滑りをしたい。その結果がメダルになるのかなという思いでやっています」
女子1500m出場権を懸けた小平奈緒との“激闘”
昨年12月29日から31日に長野・エムウェーブで行なわれた北京五輪代表選考会の最終日。初日の3000mと2日目の1000mであと一歩のところで五輪出場を逃していた菜那は、最終日の1500mにすべてを懸けた。1500mは世界記録保持者で妹の美帆と、佐藤綾乃が、W杯での成績によって五輪代表に内定しており、残り1枠を菜那と小平奈緒が争うという構図になっていた。