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ソチ、平昌、そして北京へ…3種目出場の高木菜那、“集大成”のレースへ「オリンピックでメダルを2つ取ったプレッシャーはなかった」《室伏広治氏に師事》
posted2022/02/02 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
平昌五輪のスピードスケート女子チームパシュートと女子マススタートで2冠に輝いてから4年。“ダブル金メダリスト”高木菜那(日本電産サンキョー)が一回りスケールアップして北京五輪に臨む。
出場種目は2月7日の女子1500mと、15日に決勝がある女子チームパシュート、同19日の女子マススタートの3種目。2014年ソチ五輪、18年平昌五輪に続く3度目の大舞台を前に、「3つのオリンピックは、すべてが全然違うオリンピックになる」と意気込みを新たにしている。
前回五輪後、室伏広治氏に師事
平昌五輪後は「次は個人でのスピードを追求したい」と目標を定めた。
「平昌五輪が終わった後は、オリンピックへの気持ちはそんなに強くなく、オリンピックというよりは、どの試合でも自分がどこまで戦えるかというところ、速さの追求をしました」
そこで3年前のオフシーズンから取り組んだのが、陸上競技男子ハンマー投げの五輪金メダリストである室伏広治氏に師事し、陸上トレーニングで体の使い方を一から鍛え直すことだ。
「全然違うスポーツの方に色々と教えてもらい、どのスポーツも基礎は一緒なのだと思うことが多々あった。自分の中で今一番大切だと思っているのはインナーマッスルや、体の使い方。上半身と下半身の連動の仕方など、大きい部分のトレーニングよりは細かい部分の筋肉を支えながら、いかに効率よく身体を使っていくかというところ。そこをすごく学べたのではないかと思っている」
新たな取り組みに励んでいた真っ最中の19-20シーズンは、平昌五輪シーズンから悩まされていたヒザ痛が癒え、体つきがたくましくなった時期。「痛いところがなくなった」と表情も明るくなり、世界上位との差を詰めていく手応えを感じているようだった。
「世界と戦えない1年間があったことで…」
それでもまだ北京五輪が明確な目標という位置づけにはならなかったという菜那の心に一本の軸が生まれたのは、コロナ禍に突入した20-21シーズンだった。