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「5区で電波が繋がるか…」箱根駅伝の初代実況者が語る真実「技術者たちはテントで冷えた弁当暮らし。それでも文句を言わなかった」 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byKYODO

posted2022/01/25 17:01

「5区で電波が繋がるか…」箱根駅伝の初代実況者が語る真実「技術者たちはテントで冷えた弁当暮らし。それでも文句を言わなかった」<Number Web> photograph by KYODO

箱根駅伝で史上初の生中継が行われた第63回大会の往路スタートの様子

視聴率は“予想をはるかに上回る”往路18.4%、復路17.7%

 エンディングのナレーションを読む小川さんの感激もひとしおだった。終わってみれば、沿道の観客数は過去最高に。テレビ平均視聴率は往路が18.4%、復路が17.7%と高い数字を残した。この数字は社内の予想をはるかに上回るものだったという。

「2日間、11時間を放送してあの視聴率ですからね。あれでスポンサーもいっぱい付いたし、コマーシャルも売れに売れた。坂田君の会社への貢献度は高かったです(笑)。

 それに9区で3校が並び、史上稀に見る大混戦が繰り広げられたのも良かったですね。最後は順大が勝ちましたけど、その当時から選手の血液を測ったり最先端の取り組みをしていた。私は監督から直にその話を聞いていましたから、すごいな、やっぱりかという思いでした」

 また自身の仕事振りに関しては、こんな感想を漏らす。

「私が心がけたのは、仕事を任せること。ここぞという場面で私が出しゃばらずに、各中継点や車で選手を追いかけているアナウンサーにマイクを渡すんです。みんな同じ資料を持っていますから、良いネタは早く言った者勝ちのところがあるんですけどね。そこはやはり気遣いが大事で、任せるところは任せた方が良い。そうした私の性格を知って、坂田君も声をかけてくれたんだと思いますから」

 小川さんの落ち着いた語り口調は好評で、自ら後進に道を譲るまで、8年間にわたってセンター実況を務めた。

《続く》

#3に続く
箱根駅伝とアクシデント「見たくないという声も聞くが…」徳本一善、中村祐二の“大ブレーキ”を実況したアナウンサーはどう思っていた?

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