箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
國學院大の2大ルーキーが意識する“青学大の1年生”とは?「高校3年間ずっと戦ってきた」「“してやられた”って思いましたね」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga/Nanae Suzuki
posted2022/01/18 11:03
箱根駅伝の連続シード権獲得をチーム最長となる4年に伸ばした国学院大。特に活躍したのは1年生のルーキー2人、山本歩夢と平林清澄だった
「タイムは僕のほうが速かったんですけど、一緒に走ると、絶対に負けていました」
高校時代の平林にとって、田中はなかなか勝てない相手だった。
大学に入ってからは平林の活躍のほうが目立っているが、田中も駅伝の出番こそないものの、強豪校で揉まれ着実に力を付けている。11月の世田谷246ハーフマラソンでは、駒澤大の唐澤拓海(2年)ら有力選手を破って優勝を勝ち取った。
「その前日に、田中と連絡を取ったんですけど、目標を聞いたら『優勝するわ』って言っていたんですよ、あいつは。そしたら、有言実行の優勝。“してやられた”って思いましたね」
宣言通りのライバルの活躍に、平林がいっそう闘志をたぎらせたのは言うまでもない。
山本、平林ともに、高校時代からのライバルを打ち負かすことが、“打倒・青山学院大”につながる。その先に悲願の箱根駅伝総合優勝がある。
國學院大“史上最強のルーキー”はこうして集まった
出雲駅伝初優勝、箱根駅伝3位と大躍進を果たした2年前の活躍を目撃し、國學院大に憧れを抱いて入学したのが、今季の1年生だ。『君達と一緒に箱根駅伝で初優勝したい』。そんな前田監督の言葉に胸を熱くし、新たな歴史を作ろうという志を持つ。
「うちはまだ箱根で2番にもなったことないチームですが、“優勝”っていう言葉を、口にできるチームになってきた。だからこそ、響くのだと思います」
山本や平林ら、國學院大史上最強のルーキーたちは、このようにして集まった。
スピード型の山本、スタミナ型の平林と、タイプの異なる魅力を持った2人は、この代の軸になってきそうだ。その他にも、沼井優斗は全日本で5区を走り、原秀寿は箱根の6区に抜擢と、1年目から大学三大駅伝に出場した。また、高校時代から全国大会で活躍を見せてきた中川雄太、ケガが多かったが、ロードに抜群の適性を見せる佐藤快成、秋に自己新連発の鶴元太、スピード自慢の三潟憲人と、タレントが揃う。
「この学年は、将来的には主軸の学年になります。彼らが4年になったときに、優勝を狙えるチーム作りをしていくことはマストですね」
前田監督がこの世代に大きな期待を寄せているのも、当然のことだった。そして、彼らもその期待に応えるつもりだ。
「自分たちの代で“箱根の総合優勝を絶対にしてやろう”、“三冠も目指していこう”と言っています」(山本)
1年後か2年後か、はたまた、最終学年を迎える3年後なのか……。彼らは箱根駅伝の勢力図を変えるつもりだ。志は高い。