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「シードまで30秒だ!」オリンピアンが給水員に? 東京五輪代表・山内大夢が走った“わずか数十mの箱根駅伝”

posted2022/01/21 17:04

 
「シードまで30秒だ!」オリンピアンが給水員に? 東京五輪代表・山内大夢が走った“わずか数十mの箱根駅伝”<Number Web> photograph by AFLO

箱根駅伝ランナーになくてはならない“給水員”。早大2区を走った中谷に水を手渡したのは、東京五輪男子400mハードル代表の山内大夢だった

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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 1月2日の箱根駅伝往路。東京オリンピック男子400mハードル日本代表の山内大夢(早大4年)は、今か今かと同級生の中谷雄飛が来るのを待ちわびていた。

「1区の序盤はいい位置にいたので、これは上位で集団で来るだろうと、ちゃんと準備しておこうと思ったんですけど、出遅れてしまって……。他の大学の選手が通過するのを見ながら、ちょっと不安になりました」

 2区10km地点の給水員。これが今回の箱根駅伝で山内に与えられた役割だった。

過去には大迫傑の給水係に「ディーン元気」が登場

 給水員は各チームの部員や大学関係者が務めることになっており、メンバーから外れた長距離部員がその役割を担う場合が多い。しかし、早大の場合は、長距離部員が例年30人前後と少ないため、他ブロックの選手が給水員を任されることもある(給水員のみならず、沿道の走路員など学生補助員も、正月返上で他ブロックの選手が担う)。2013年の第89回大会では、ロンドン五輪男子やり投げ代表のディーン元気が、のちにオリンピアンとなる同級生の大迫傑に給水を手渡したことがあった。この年、大迫は強風に煽られながらも、3区で9人抜きの活躍を見せている。

 実は、給水員の役割は、山内たっての希望だった。

「選手のほうから誰々にやってほしいと要望がある場合もあるのですが、僕の場合は、単純に給水員をやりたいなと思っていたので、それをマネージャーに伝えていました」

 山内は子どもの頃から毎年正月はテレビで箱根駅伝を見ており、ハードラーでありながらも、ひそかに“箱根駅伝を走ってみたい”という思いを心の内に持っていた。たった数十メートルに過ぎないが、給水員として箱根路を駆けることが叶うことになった。

中谷にも相談「どういうふうに渡すのが一番いいのか」

 その大役を正式に言い渡されたのは約1週間前。その時点では、2区を誰が走るかは確定していなかったものの、給水を渡す相手が中谷になることは、なんとなく決まっていたという。

【次ページ】 当日の朝、LINEで『給水所で待っているよ』

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