國學院大の2大ルーキーが意識する“青学大の1年生”とは？「高校3年間ずっと戦ってきた」「“してやられた”って思いましたね」

　今年の箱根駅伝でダークホースと目されていたチームの1つが國學院大だった。出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに4位と好成績を残し、箱根では頂点を狙いにいった。

　その箱根では、これまで不振だった藤木宏太（4年）、中西大翔（3年）のWエースが活躍した一方で、主力の足並みを揃えられず、8位に終わった。それでも、シード権は守り抜き、連続シード権をチーム最長となる4年に伸ばした。

　目標の総合優勝には遠かった。だが、レース内容を振り返ると、来季以降への期待を抱かせるものだった。

　そう思わせるのは、2人の1年生、山本歩夢、平林清澄の活躍が見事だったからだ。

　山本は3区で6人を抜き4位に浮上。チームは“耐える”序盤から、3区山本の走りで“攻め”に転じ、一気に勢いづいた。復路の要・9区を任された平林は、10位から5位まで押し上げて、シード権争いから抜け出した。ともにルーキーらしからぬ堂々とした走りだった。

3区山本）怪我に苦しんだ1年「箱根一本に懸けようと」

　山本は、箱根が大学駅伝デビュー戦だった。

　5000m13分台を提げて國學院大に入学する選手は山本が初めて。しかし、即戦力として期待されるも、今季はケガに苦しんだ。

　春先は左脚のシンスプリント（脛のケガ）で3～5月の3カ月間走れず。ようやく治ったと思いきや、7月の終わりに、今度は左足の中足骨を痛め、9月の終わりまで、またしても走れない日々が続いた。

「苦労した1年でした。伸び悩んでいた自分とは裏腹に、同期の平林は結果を残していて、すごく悔しかった。その悔しさを秋以降にぶつけようと、ケガが治ってからは箱根一本に懸けようという思いで取り組んできました」

　その思いを結実させ、箱根に間に合わせると、3区で出番が回ってきた。

「君の走りは3区に適性がある」――実は、高校生だった山本は、前田康弘監督にスカウトされた際にこんな言葉をかけられていた。

「当時は3区がどんなコースかは詳しく知らなかったんですけど、実際に走ってみたら、すごく自分に合っていました。前田さんが言うことはすごいなって思いました」

　当初は7区で準備していたが、木付琳（4年）が直前に左脚のアキレス腱を痛めたことで、急遽3区の出番が回ってきた（もっとも、11月の時点で前田監督の頭の中には山本を3区に起用する構想があったが、山本には伝えていなかった）。そして、指揮官の予言通りに、山本は快走。各校のエース級も登場する区間で、区間5位と堂々の箱根デビューを飾った。

9区平林）シード落ちの危機から救う“攻めの走り”

　一方の平林も、12月に入ってから、当初予定していた区間から変更があった。

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