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「グランアレグリアはマイルのチャンピオンだった」5年連続リーディング騎手・ルメールが明かした“名牝への思い”と22年への抱負
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byPhotostud
posted2022/01/15 17:01
引退レースとなったマイルCSにて有終の美を飾ったグランアレグリアとルメール
「友一君のためにも負けたくなかった」宝塚記念
春を締めくくる宝塚記念(GI)ではクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)の手綱を取った。
「友一君のためにも負けたくなかったです」
“友一君”とはクロノジェネシスの本来の主戦である北村友一騎手。大怪我により戦線を離脱。代打で指名されたのがルメール騎手だった。結果、同馬は2着のユニコーンライオンを2馬身半、突き放してゆうゆうと先頭でゴールイン。有馬記念(GI)を含めたグランプリ3連覇という名牝の偉業をルメール騎手は見事にアシストしてみせた。
引退した名牝・グランアレグリアへの思い
そして、昨年の彼の活躍を語る時、欠かす事の出来ない名牝がもう1頭いる。
グランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。
昨春の始動戦となった大阪杯(GI)と同秋の初戦となった天皇賞・秋(GI)ではそれぞれ4、3着と敗れたが、この敗因をルメール騎手は次のように語る。
「大阪杯は道悪(重馬場)も向かなかったと思います。あと、天皇賞の感じからも2000メートルは少し長かったかもしれません。元々のポテンシャルが凄く高いので、2000メートルが全くダメというわけではなく、ひと叩きされていれば違ったかもしれないけど、やはりGIを争うトップクラスでのレースとなると、2000メートルよりはマイルの方が能力を発揮出来るタイプだったと思います」
実際、グランアレグリアの昨年のマイル戦における戦績はいずれもGIレースばかりで3戦して2勝、2着1回。唯一の敗戦が安田記念だったが、これに関しては次の通り述懐する。
「スタートしてすぐに様子がおかしかったです。息がぜえぜえする感じで、3コーナー付近では早々に『今日は惨敗まである』と感じました。それでも結果的に頭差の2着まで来たのは、彼女の能力の高さが全てです。安田記念後の夏にはノドの手術をする事になったわけですけど、この時、すでにその兆候があったように私には感じられました」
さて、そんな苦い思いこそしたものの、他の2戦、すなわちヴィクトリアマイルとマイルチャンピオンシップはいずれも完勝した。