「グランアレグリアはマイルのチャンピオンでした」

　ヴィクトリアマイルは大阪杯で負けた直後。“勢いの止まった牝馬は苦しいのでは？”という声も囁かれたが、終わってみればそれは重箱の隅を楊枝でほじくるような論調だったと分かる結果。直線に向いてルメール騎手がゴーサインを出すとエンジンに火を点けたグランアレグリアは一気に加速。結果、2着のランブリングアレーをアッと言う間に4馬身も置き去りにして、この距離で牝馬同士となると、全く異次元の存在である事を証明した。

「やっぱりグランアレグリアの瞬発力は凄いです」

　レース直後、ルメール騎手は目を真ん丸にして、興奮気味にそう言った。

　そして、マイルチャンピオンシップである。春にはルメール騎手が乗ってNHKマイルCを優勝し「新たにマイル界で中心的存在になれる馬」（ルメール騎手）と絶賛したシュネルマイスターに、4分の3馬身の差をつけての完勝。グランアレグリアにとって現役最後の一戦となるこのレースで好騎乗。有終の美をアシストしてみせた。

「グランアレグリアはマイルのチャンピオンでした。あんな素晴らしい切れ味を持った馬はそうそういるものではありません」

有終の美を飾ったグランアレグリアとルメール　©Satoshi Hiramatsu

6年連続のリーディングトップを目指して

　これらの大仕事を含め、最終的にルメール騎手は昨年199勝をマークした。

「もう1つ勝ちたかったです」

　笑いながら年間200勝への本音をそう吐露したが、思い直すように改めて口を開く。

「でも、好成績だった事に違いはありません。今年も同様の活躍が出来るように頑張ります」

　リーディングを狙う他の騎手からすると、ルメール騎手が目覚める前にどれだけ差を広げられるかがカギとなるだろう。すぐにお目覚めとなるのか、6年連続のリーディングトップを目指すルメール騎手の、毎週の騎乗ぶりから、今年も目が離せそうにない。