酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
トライアウトから球団経理やボートレーサー? ビッグボスになった新庄や巨人戦力外→DeNA宮國椋丞は有名だが…実は知らない「その後の進路」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2022/01/17 11:03
2020年のトライアウトに参加した宮國椋丞。DeNA育成契約を経て2021年には古巣・巨人を相手に勝ち投手となった
筆者はNPBから独立入りした選手にたくさん話を聞いてきたが、契約の時に自分で切符やホテルの予約をしなければならないこと、自分で用具を移動させないといけないこと、試合日の食事がペットボトルのお茶とコンビニ弁当的なものであること、などこまごまとした「違い」に驚き、「もうプロ野球選手じゃないんだ」ということを実感する。
しかし今の独立リーグはNPBと人的につながっているから、選手として復帰の道もある。また経験を積めば指導者でNPBに復帰の線もある。
昨シーズン、独立リーグ界ではヤマエ久野九州アジア独立リーグが設立され、そこに今季から堀江貴文氏率いる福岡北九州フェニックスも参入した。さらにBCリーグからオセアン日本海リーグが独立。独立リーグは球界再編というべき事態だった。
トライアウトはどこも盛況で、かつてない選手の争奪戦がおこっている。まだ去就が決まらない選手のかなりの数が、独立リーグのユニフォームにそでを通すことになるだろう。
元所属球団からのオファーで「経理」になったのは誰?
選手を引退して、球団職員になったのは以下の2人だ。
笠井崇正(DeNA・投手)DeNA球団経理部
飯塚悟史(DeNA・投手)DeNA球団職員
トライアウトに挑戦した選手には、主に元の所属球団から「職員にならないか」というオファーが来る。これも現実的な選択肢ではある。
投手は打撃投手兼用具係、野手はアカデミーコーチなどの役職が用意されることが多いが、今年の笠井は「経理」。これは異色だ。早稲田大に一般入試で入り野球部に所属するも退部してサークルで野球をし、卒業後独立リーグを経てドラフト指名された変わり種ではある。あるスポーツ紙は「電卓と向かい合って球団を下支えする第二の人生への決意を示していた」と書いた(今どき経理作業は「電卓」ではないと思うが)。
また以下の3人は引退を表明した。
中尾輝(ヤクルト・投手)
荒木郁也(阪神・内野手)
藤谷洸介(阪神・内野手)
残る17人は去就が決まっていない。トライアウト終了後5日以内に連絡が入らないと、NPB球団との再契約は難しいとされる。2018年の最多勝投手、多和田真三郎(西武・投手)、先発救援で活躍した榎田大樹(西武・投手)など名のある選手にも声がかかっていない。
春季キャンプでのテストで入団が決まるのはレアケース
なお、ごくまれに春季キャンプに呼ばれてテストを受けて入団が決まることもある。