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トライアウトから球団経理やボートレーサー? ビッグボスになった新庄や巨人戦力外→DeNA宮國椋丞は有名だが…実は知らない「その後の進路」
posted2022/01/17 11:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
12球団合同トライアウトから1カ月余りが経過した。当日のメットライフドームは気温5度、寒さ厳しかったが、そんな中で33人の選手が「NPB現役続行」の望みを胸にパフォーマンスを披露したわけだ。
1月11日現在、トライアウトに挑戦した選手のうち、NPBと契約ができたのは、日本ハムに入団が決まった古川侑利(巨人・投手)だけ。古川は背番号「116」の育成選手になり「一度プロ野球選手としては死んだ身なので、もう一度生き返らせてくれたファイターズの関係者の皆様には感謝しかありません」と語った。
残る32選手のうち、社会人野球に入団が決まったのは8人(22年1月15日現在)である。
山下航汰(巨人・外野手/内野手)三菱重工East
武田健吾(中日・外野手)三菱重工East
金田和之(オリックス・投手)三菱重工West
畝章真(広島・投手)日鉄ステンレス山口シーガルズ
中塚駿太(西武・投手)ジェイファム
神戸文也(オリックス・投手)エイジェック
石井将希(阪神・投手)エイジェック
鈴木遼太郎(日本ハム・投手)エイジェック
筆者はメットライフドームのトライアウトを安倍昌彦さんと並んで見たが、安倍さんは「山下は健大高崎時代から目立っていた」と言っていた。巨人の育成再契約を断ってのトライアウト挑戦だったが、オファーはなかった。
武田健吾は2021年も93試合に出場、10月6日まで一軍の試合に出ていたが、戦力外になった。エイジェックはBCリーグ栃木ゴールデンブレーブスを運営している。また野球を「事業」としてとらえている企業だ。エイジェックに入団した3投手には、選手以外の仕事もあると思われる。
独立リーグは「現実的な選択肢」である一方で
元ロッテの荻野忠寛さんは「プロ野球と社会人では指導のレベルも、練習法も全然違う」と語っていたが、これらの選手たちは、社会人ではプロの経験を活かして選手の指導も担うことになるのだろう。
独立リーグと契約したのは2人。
佐藤優悟(オリックス・外野手)福島レッドホープス
中村和希(楽天・外野手)武蔵ヒートベアーズ
他に片山博視(楽天・内野手)、ルシアノ・フェルナンド(楽天・外野手)の2人が前年から武蔵ヒートベアーズに所属してトライアウトを受けている。
トライアウトを受けるNPB選手にとって、独立リーグは「現実的な選択肢」ではある。比較的入団は容易だし、主力選手として試合出場は保証されている。
しかしながら、多くの選手はNPBと独立リーグの環境の違いにショックを受ける。