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「何度も無理だと思った」那須川天心vs武尊はなぜ実現した?「キック卒業を伸ばせないか」榊原信行の提案に“神童”の答えは… 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2022/01/16 17:03

「何度も無理だと思った」那須川天心vs武尊はなぜ実現した?「キック卒業を伸ばせないか」榊原信行の提案に“神童”の答えは…<Number Web> photograph by Susumu Nagao

昨年12月24日、金屏風を背に行われた那須川天心vs武尊の発表会見は、格闘技界にポジティブな驚きをもたらした

 新型コロナウイルスによる外国人の入国制限が撤廃されていたら、Bellatorも実現していたのか。ちなみに29日は、幻となった二大決戦の代わりに、村田諒太とゲンナジー・ゴロフキンによるWBAスーパー・IBF世界ミドル級王座統一戦という、日本ボクシング史上最大のビッグマッチが行なわれる予定だった。

 いずれも頓挫してしまったが、那須川vs武尊にはそれとは別にプランBも用意されていた。12月31日、大阪ドームでRIZINとは別のイベントを立ち上げ、そこで実施しようとしていたというのだ。地上波の中継はフジテレビで、さいたまスーパーアリーナで開催の『RIZIN.33』との二元中継を模索していたという。

 榊原は「実際、大阪ドームは予約していた」と明かす。

「大会を入れ換え、天心vs武尊をさいたまでやり、大阪でRIZINをやるというケースも考えました」

 大晦日の格闘技イベントの二元中継は、過去にTBSが実施した前例がある。

「さいたまでRIZINを中継している最中に、さいたまのリポーターが『では、そろそろマイクを大阪ドームに渡します』というパターンを考えていた。31日にやろうとしたら、それしかなかった」

食い違う双方のこだわり、求められた「中立な舞台」

 K-1サイドも大阪ドーム案は了承してくれたが、今度は那須川サイドから異論が出た。というのも、那須川は自分を育ててくれたRIZINという舞台での卒業マッチに強いこだわりを抱いていた。闘うリングがRIZINでなければ意味はない。

 那須川はハッキリと主張した。

「RIZINのリングに武尊選手が出てくるならやります。僕は12月31日に“RIZINを卒業”したいんです」

 譲れるところは譲れるが、こだわっている部分は譲れない。それは闘いのモチベーションにもつながる。榊原は「RIZINと同日開催の別イベントに行って試合をするとなると、それはRIZINでのラストマッチにはならない」という神童のこだわりを理解した。

 あちらを立てれば、こちらが立たず。榊原は「お互いのこだわりが違っていた」と頭を抱えた。

「やることに対しては双方から了解がとれても、日時や会場、さらに日々お付き合いしているテレビ局や配信局とのバランスをとっていかないといけない」

【次ページ】 “6月開催案”に那須川は「何を言っているんですか」

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