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物議を醸した社会人→MLB直行…吉川峻平(26)が“マイナーで奮闘の今”を語る「日本にいたら気づけなかったことかも」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byGetty Images

posted2022/01/14 11:04

物議を醸した社会人→MLB直行…吉川峻平(26)が“マイナーで奮闘の今”を語る「日本にいたら気づけなかったことかも」<Number Web> photograph by Getty Images

今年、ダイヤモンドバックスの傘下マイナーに所属して4年目を迎える吉川峻平

 大学時代にメジャーの舞台への憧れを持ち、その想いをそのまま行動に移した形だ。迷いがなかったわけではないが、自分が思い描く野球人生を紙に書いたとき、メジャー挑戦は早い段階で決断したほうがいいという結論に至ったのだった。

 1年目のシーズンは1Aで過ごした。2年目は新型コロナウイルスの蔓延によってマイナーリーグは中止。実質、“2年目”となった3年目の昨季がメジャー昇格へ向けての足がかりになった。ルーキーリーグから3Aまで全てのカテゴリーを経験し、フォールリーグの舞台まで踏むことができたのだ。

 順当に階段を上っているかのような道程に見えるが、実情はそんなものではない。

 吉川は言う。

「僕の場合は順調に上がっていたという感じではなかったんです。3Aに上がった時も、人数合わせのような感じでした。だから、試合を見ているのは楽しくてしょうがなかったけど、マウンドで投げるとなると、今の俺でやれるんかな、という不安がありました」

飛び級は稀。マイナーリーグの“システム”

 アメリカのマイナーシステムがしっかりしているのは、こういったところだ。

 時に飛び級の選手はいるが、それは歴史を変えうるようなスーパースターレベルだ。多くの選手がマイナーにある5つほどの階段を一つずつ上っていく。

「マイナーは上のクラスで勝てるだけじゃ、昇格させないんです。圧倒的な力を身につけてからじゃないと上げない。(昇格した先で)ボコボコに打たれて立ち直れなくなるくらい自信を無くしてしまう選手がいるからだと思います」

 つまり、積み上げた自信が選手を大きくさせるということがマイナーリーグでは共有されているのだ。

 シーズン時点での吉川にはまだその自信が身についていなかった。環境が変わるなかで結果を残すことができなかったからである。

【次ページ】 「日本にいたら気づけなかったことかもしれない」

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吉川峻平
アリゾナ・ダイヤモンドバックス

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