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物議を醸した社会人→MLB直行…吉川峻平(26)が“マイナーで奮闘の今”を語る「日本にいたら気づけなかったことかも」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byGetty Images

posted2022/01/14 11:04

物議を醸した社会人→MLB直行…吉川峻平(26)が“マイナーで奮闘の今”を語る「日本にいたら気づけなかったことかも」<Number Web> photograph by Getty Images

今年、ダイヤモンドバックスの傘下マイナーに所属して4年目を迎える吉川峻平

「日本にいたら気づけなかったことかもしれない」

 ただ、その中でも、アリゾナ・フォールリーグへの派遣を勝ち取れたのは自分の持ち味を周囲に見せつけることができていたからだ。これは、メジャーを目指す猛者たちの中にいたからこそ、気づけたストロングポイントであったと吉川は語る。

「先発で93~95マイル(150~153km)を超えてくるような投手ばかりの中で、僕がどこを目指すかと言ったら、スピードではないと改めて思いました。僕は90、91マイルぐらいのスピードで制球力、変化球を投げ分けるスタイル。球速は誰が見てもわかる数字ですし、速い球を投げることにロマンを感じますけど、僕は95マイルのボールがなくても、そういうピッチャーより良い変化球を持っていると自負しています。

 実際、フォールリーグでも93マイル以上は出なかったですけど、MAX100~102マイル投げるようなピッチャーより、数字も良かったですから。ただ、それは日本にいたら気づけなかったことかもしれない。速い球を投げる投手ばかりがいる世界にいたからこそ、変化球やコントロールを磨こうと思えました」

 フォールリーグで最も持ち味を発揮したのはチェンジアップだった。吉川自身が100マイルを投げる投手に尊敬の念を抱くように、吉川の冴え渡ったチェンジアップも周囲から高い評価を得られたのだという。

吉川が掴んだ手応え。「自信を持つにはまだ早いですが…」

 吉川の2021年シーズンはかくしてたくさんのことを経験した1年になった。

 安定した成績を残して昇格していったわけではなかったため、「俺はこのレベルに到達しているんだろうか」と不安になりながら登板した時もあったというが、シーズン後のフォールリーグが吉川にもたらしたものは大きかった。

【次ページ】 「海を渡りたい選手たちのハードルが下がるのであれば…」

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吉川峻平
アリゾナ・ダイヤモンドバックス

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