「すごい人たちが集まった中でも、僕の今の武器をそのまま伸ばせば勝負できることを感じとれた1年でした。フォールリーグで投げる前はすごい奴らが来ると思っていましたけど、いざ投げたら、自分をそんなに下に見なくていいんじゃないかなと。自信を持つにはまだ早いですが、そこそこ抑えられるレベルに自分がいることを確認できた。来シーズンは健康な体でスプリングトレーニングにいって1、2カ月の練習を踏んで、ちゃんとシーズンの最初から最後までやりたいなというのが一番です。上（メジャー）でやりたいですけど、1年間やるということを、大前提の目標としています」

「海を渡りたい選手たちのハードルが下がるのであれば…」

　日本のトップアマから直接アメリカに渡ったケースでは田澤純一（高校→社会人経由）がいるが、吉川の場合は、大学を経てから社会人、渡米ともう一つステップを置いている。

「そのためにやっているわけではないですけど、僕がアメリカで結果を残すことで、本当は海を渡りたい選手たちのハードルが下がるのであれば、嬉しいことだなと思います」

　昨季、日本人選手ではエンゼルスの大谷翔平がリーグMVPに輝いた。

　今季からメジャーに挑戦する鈴木誠也、昨季、3Aで結果を残した加藤豪将（今季からブルージェイズ）、そして、吉川は奇しくも同学年にあたる。

　高校時代にメジャー挑戦を目指しながら日本のプロ野球に進むも、たった5年で海を渡った大谷、ポスティングでのメジャー挑戦を果たす鈴木、アメリカに生まれ、MLBドラフト指名を受けながら紆余曲折の日々を送った加藤、そして吉川。

　彼らの活躍一つひとつが、日本人に、メジャーの壁を少しずつ見やすくしてくれることは間違いない。