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物議を醸した社会人→MLB直行…吉川峻平(26)が“マイナーで奮闘の今”を語る「日本にいたら気づけなかったことかも」
posted2022/01/14 11:04
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Getty Images
ダイヤモンドバックス傘下マイナーに所属する吉川峻平(26歳)が「いつか立ちたい」と考えていた舞台への出場が決まったのは、昨季レギュラーシーズンが終わり、翌年に向けた大きな課題を日本に持ち帰る準備をしていた時だった。
「今年(2021年)のレギュラーシーズンの数字が微妙で不完全燃焼だった。20年を考えれば野球できたっていう喜びはあったにしろ、内容としては物足りなかった。だから、来年は『こいつ去年こんな選手やったっけ』と思われるくらいのオフシーズンにしようと考えていたところでした」
マイナーの選手なら誰もが目指す舞台。それがシーズン後の10月に開催される「アリゾナ・フォールリーグ」だ。ここに出場できる選手はメジャー昇格が近いとされる期待の選手だからである。
過去にゲレーロJr.が出場。「大きなチャンスが来たなと」
吉川はそのフォールリーグで、18イニングを投げて、0勝2敗。防御率5.00。一見数字は良くないものの、フォールリーグにおいて目覚ましい活躍を見せた選手たちで構成される「フォールスター」に選出された。
吉川自身、フォールリーグへの派遣が決まった時には燃え上がるものがあったと言う。
「2018年はゲレーロJr.(ブルージェイズ)がフォールリーグに出ていました。その時に何試合か見に行ったこともありました。だからどんなレベルの選手がいるのか、そして、バックネット裏に山ほどスカウトが来ていたのも知っていたので、(派遣が決まった時は)大きなチャンスが来たなと。数字より、とにかく自分がどんなピッチャーであるかを見せようと思いました」
もっとも、吉川にとっての21年シーズンは様々なことを感じた1年でもあった。
マイナーで奮闘中。吉川峻平の歩み
関大北陽、関大を経てパナソニックに入社。ドラフトが解禁される2年目には上位候補と騒がれていた。しかし、当時23歳の吉川は日本のプロには進まず、直接、海を渡った。