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30打席ノーヒット…“一軍の壁”にもがき苦しんだ1年で、DeNAのスター候補生・森敬斗19歳が見た光明とは

posted2022/01/10 11:01

 
30打席ノーヒット…“一軍の壁”にもがき苦しんだ1年で、DeNAのスター候補生・森敬斗19歳が見た光明とは<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

昨年7月11日の中日戦でプロ初スタメンを勝ち取り、今後のチームを背負う大器として今季はレギュラー獲りを狙う

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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 観衆を惹きつける躍動感のあるプレーと“高卒ドラ1の遊撃手”という肩書。横浜DeNAベイスターズの森敬斗は、チームの将来を担う存在として常に注目を浴びている。

 2年目となった昨シーズン、森はオリンピックブレイク前に一軍に帯同されると、実戦で揉まれながら最後まで戦い抜いた。

 そのポテンシャルの高さはもちろん、スター候補生にふさわしい選手ではあるが、昨季の森から漂っていたのは輝きよりも苦しみ、あるいは悔しさだった。

「おっしゃるとおり、悔しさは大きかったですね……。チャンスをいただいたのにも関わらず、できないことがたくさんありました。試行錯誤しながらやってきたのですが、なかなか結果を出すことができなくて……」

 昨季の成績は44試合に出場し、113打席で打率.194。言うまでもなく物足りない数字だ。

 森が一軍に昇格したのは7月10日。柴田竜拓の負傷による登録抹消を受けてのことだった。このシーズン初めて一軍に呼ばれた森は、当然気合が入った。

「前年のルーキーイヤーのような“お試し”ではなく、戦力として呼んでもらったと思ったので、与えられた場所でしっかり仕事をしようって」

スタメン・マルチ安打からのスランプ

 7月11日の中日戦、2番ショートでスタメンを飾ると、いきなりマルチ安打。さらにオリンピックブレイク後の8月17日の阪神戦ではプロ初の3安打を放ち、まぶしいほどの輝きを放った。バットのトップがしっかり決まり、前年よりも確実に強いスイングができていた。

「あのときは調子が良くて、タイミングも取れていたんです。でも今から考えれば、もう少しタイミングをゆったりと取っておけば好調を維持できたのかもしれません」

 好事魔多し。その後、徐々に当たりが止まってしまい、8月25日から10月3日の試合まで30打席ノーヒットの苦しみを味わった。その期間、早出による特打はもちろん、遠征先でも試合後居残りで練習をつづけたが、なかなかスランプを脱することができずにいた。原因はバッティングのバランスが崩れていたことにあった。森は打撃コーチたちに相談し、試行錯誤を繰り返した。

【次ページ】 一軍でしか得られない経験と成長

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