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《箱根駅伝》大八木監督「日本人トップのプライドを」 駒大エース・田澤廉がヴィンセント(東国大)に挑むうえで欠かせない“突っ込む強さ”
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byAFLO
posted2022/01/01 17:07
12月の日体大長距離競技会、男子10000mでは日本歴代2位の好タイムでフィニッシュした駒澤大学のエース田澤廉
「4戦連続で10000m27分台」の安定感
スタミナ面の向上は駒澤大に入学してからの練習の積み重ねが大きいだろう。夏の強化期間中から本人も手ごたえを口にしていた。
「練習で行う30kmの距離走でも前は前日から構えている部分があったんです。でも今年は特に意識することもありませんし、実際、以前のようにキツさを感じる場面も減っています。そして終わった後も、そこまで疲労が出ることもなくなりました」
成果は後半のペースダウンがなかった点に現れた。7000mから一瞬、ラップを落としたが、すぐに1000m2分45秒ペースに戻し、9000mからフィニッシュは2分36秒台にまとめている。
「以前だったら7000mくらいでキツくなるんですけど今回は9600mまで余裕を持って走れましたし、ラストも上げることができました。力がついているなって実感しました」
昨年の日本選手権8位から、今年5月の同大会では27分39秒21で2位と順位を上げていた。加えてここまで4戦連続で10000m27分台である。今の田澤の安定感は見事の一言だ。
ハイペースで突っ込む“攻めの走り”ができるか
彼の成長は駅伝での走りも変えた。12月の競技会から遡ること1カ月の全日本大学駅伝7区。17.6kmの区間で田澤は先頭と1分36秒差の4位でタスキを受けたが、それをひっくり返し、先頭で中継した。結果も圧巻だったが、日頃、駅伝ではペースを抑え気味に入る田澤だが、最初の1kmを2分46秒、5kmの通過が14分10秒とハイペースで突っ込んだ。
「自分が強くなっている自信もありましたし、弱気にならずに攻めることができました。今回は追う展開だったので突っ込みやすかったですが、逃げる展開でも同様のレースができたと思います」
それでいて後半の失速も抑えている。駅伝で突っ込める強さは、大八木監督が求め続けてきた点だ。自信を身にまとい、駅伝でのレース運びも他を圧倒する貫禄が漂うようになった。