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長州力「墓に糞ぶっかけてやる!」新日本vs.Uインター“禁断の全面対抗戦”はなぜ実現したのか? 前哨戦すら“不穏試合”になりかけた衝撃 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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posted2022/01/06 17:02

長州力「墓に糞ぶっかけてやる!」新日本vs.Uインター“禁断の全面対抗戦”はなぜ実現したのか? 前哨戦すら“不穏試合”になりかけた衝撃<Number Web> photograph by AFLO

1995年、10・9東京ドームのメインとして行われた武藤敬司vs高田延彦

“不穏試合”となりかねないギリギリの攻防

 途中、安生のヒザ蹴りが永田の顔面を直撃し右目を大きく腫らせると、逆に長州が自軍コーナー近くで安生を押さえつけ、そのまま永田がマウントポジションからパンチでお返し。安生も左目を大きく腫らせた。

 そんな一歩間違えば“不穏試合”となりかねないギリギリの攻防の中、永田は胴タックルで組みつき、グレコローマン仕込みの反り投げを連発して、場内を何度も沸かせた。最後は中野の腕ひしぎ十字固めの前に敗れたものの、観客に「永田強し」「新日本強し」を印象付け、長州の期待に見事応えてみせたのである。

 余談になるが、この日は当時新日本と業務提携を結んでいたアメリカのメジャー団体WCWのスター選手も多数出場。控室のモニターでこの試合を観ていたホーク・ウォリアー、スティング、ウィリアム・リーガル、クリス・ベノワらも、新日本のリングで繰り広げられるケンカやバーリ・トゥード(MMA)さながらの闘いにヒートアップ。

 とくにホーク・ウォリアーは、右目を大きく腫らして控室に戻ってきた永田に「よくやった!」と握手を求め、「次に何かあったら俺がいってやるぞ!」と、vs.Uインター出撃を志願したほどだったという。外国人スター選手をそこまで熱くさせるほどの試合だったのだ。

 永田は10・9東京ドームでの対抗戦でも、石沢常光(ケンドー・カシン)と組み、金原弘光&桜庭和志と対戦。対抗戦のベストバウトとして、アントニオ猪木も絶賛する緊張感あふれる試合をやってみせた。このUインターとの対抗戦が、それまでいち若手だった永田の出世試合となったのである。

あれから26年の時を経て「第0試合」に出場

 あれから早26年。永田は2022年の1・8横浜アリーナでのノアとの対抗戦にも出陣。天山広吉、小島聡との第3世代トリオで、キング・タニー&モハメド ヨネ&齋藤彰俊のファンキーエクスプレスと対戦する。

 しかし、この試合は本戦ではなく、第0試合として組まれているため、永田はツイッターに「ゼロかよ!!」と投稿。“ダークマッチ”扱いに不満なようす。

 さらにノア側の代表に武藤がいることについて、「武藤さんが素晴らしくて、未だ健在なのは良くわかっているとして、新日本vsノアの対抗戦の最前線に武藤さんを出してくるプロレスリングノアの苦しい台所事情が嫌という程良くわかってしまうんだよなあ(笑)!!」と投稿し、ノアの丸藤正道から「今のノアの台所は開けたオープンキッチンなので誰が出ても大丈夫なだけです。そちらは狭い閉塞感のある台所でそこから追い出されちゃったんですか?ゼァ!」と返されるなど、試合の煽りとは関係ないところで、よけいな因縁も生んでいる。

 1・8横アリの新日本vs.ノア全面対抗戦。たとえ第0試合であっても“対抗戦男”永田裕志の闘いを見逃してはいけない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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