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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
朝倉海「人生で初めて好きになったのが格闘技」目標のない普通の地方青年が“RIZINのトップ”にのし上がるまで《独占インタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakashi Shimizu
posted2021/12/30 17:11
RIZINトップ選手として活躍する朝倉海。大晦日にはバンタム級日本トーナメントに登場する
「ポイ捨て注意動画」撮影のウラ側
――那須川天心選手も「YouTubeが入口で僕を知ったという人もいます」と言っていました。
朝倉 僕の場合だと、元から格闘技を知っている人とテレビやYouTubeを通じて知った人が半々くらいですね。特に女性ファンはYouTubeからの人が多い印象です。
――いままでのYouTubeの動画の中で「あれ見ました!」と言われるのが多い動画は何ですか?
朝倉 オタクの恰好に変装して、歌舞伎町でたばこのポイ捨てを注意する動画は今2000万再生くらいされてるんですけれど、その動画で知ってくれた人は多いですね。
――僕も見ました(笑)。映像としてスリリングな分、結構ギリギリというかトラブルもあり得ますよね。プロのファイターとしては、最悪の場合どうしようと思いながら撮っていたんですか?
朝倉 最悪の場合「殴られたらよければいいや」という感じですね。あとは相手が刃物とか持ってたら逃げようと(笑)。だから最近はやらないようにしてます、危ないんで。それこそ本当に揉めて、映せなくて警察が来ちゃったシーンとかもあったりはするんですよ、動画には載せてませんけど。当時はまだそこまで有名じゃなかったからできましたけど、今は難しいですね。
――今はあのオタクファッションの人が繁華街にいたら「あれ朝倉海じゃない?」ってなるでしょうね。
朝倉 そうですよね(笑)。たぶん気づかれちゃってるので、最近はできないですね、そういう意味でも。
「格闘技ってリスクがないと面白くない」
――今は多くの格闘家がYouTubeをやってますし、Twitterはさらにたくさんの選手が使っています。試合前に意気込みを語って、試合が終わったら自分で分析して、Twitterで挑発しあうこともある。有名になると対戦要求してくる選手もいる。10年前の格闘家よりやることが多いし、それだけプレッシャーが増していると思います。勝っても負けてもいろんなことを言う人がいますし。
朝倉 それはありますね。そこはなんていうか、格闘技ってリスクがないと面白くないので。だからお互い煽り合って、負けられない状況を作った上で闘って、負けたら叩かれるし勝ったら称賛される。これが格闘技の面白さでもあると思うんですよね。発言、行動のすべてが自分に責任があって、それが試合で自分に返ってくる。残酷なことでもあり面白さでもあるかなと。
――厳しいけれども、いい勝ち方をすればリターンも大きいと。
朝倉 そうですそうです。もちろん逆もありますけど。だから過酷なスポーツですね、本当に。