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《独占インタビュー》朝倉海が大晦日RIZINで“最強の証明”を誓う理由「勝っても評価が上がらない闘い。だから強くなれた」

posted2021/12/30 17:10

 
《独占インタビュー》朝倉海が大晦日RIZINで“最強の証明”を誓う理由「勝っても評価が上がらない闘い。だから強くなれた」<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

大晦日のRIZIN.33ではバンタム級日本トーナメント準決勝に登場する朝倉海。勝てばメインイベントで決勝が待っている

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Takashi Shimizu

 20年以上続く“大晦日決戦”が今年も近づいてきた。
『猪木祭り』、『PRIDE男祭り』、『K-1 Dynamite!』にDREAM、DEEP。さまざまな団体が大晦日の格闘技、その歴史を紡いできた。そして今、この日を「格闘技のシーズンピーク」と位置付けて活動しているのがRIZINである。

 その成功の要因は、新世代のスター選手にスポットを当てたこと。その代表格が那須川天心であり朝倉未来と海の朝倉兄弟だ。今年の大晦日も、彼らは大会の主役と言っていい。

 武尊戦が発表されたばかりの那須川は、MMAの大ベテラン・五味隆典とボクシングに準ずるルールでエキシビションという異色のマッチアップ。未来は昨年、僅差で敗れた斎藤裕とのリマッチに臨む。海は今年、バンタム級日本トーナメントにエントリー。1、2回戦を勝ち上がった。大晦日に待っているのは準決勝、決勝。勝てば1日2試合となり、海は当然そうするつもりでいる。

 昨年大晦日は堀口恭司のカーフキックに1ラウンドでKO負け。“世界”を見据えながら、海はどのような思いで日本トーナメント参戦を選んだのか。優勝候補の最有力と見られる中での闘いに向けたインタビューで、海は「RIZINを引っ張る」トップファイターとしての自負を滲ませた。(全2回の1回目/後編へ続く)。

 ◆◆◆

――12月は例年「追い込み」練習の時期だと思いますが、その時期の気分ってどんな感じですか?

朝倉 今年で4年連続大晦日に試合させてもらってるんですけど、12月は楽しくないですよね(笑)。普通は忘年会だったりクリスマスがあったり、楽しい行事が多いじゃないですか。でも試合があるとお酒も飲めないし、クリスマスなんて減量中ですし。楽しめないですよね。ありがたいことですけど。

――大晦日に試合だと、勝敗によってお正月の気分も全然違いそうですね。

朝倉 そうですね、勝てばいいんですけど負けるとお正月も全然面白くないですね。1年の最後、締めくくりですし。

「自分はRIZINを引っ張っていく立場」

――同じさいたまスーパーアリーナで試合するにしても、大晦日の試合だと感覚の違い、特別感みたいなものはありますか。

朝倉 いやぁ、それは一緒ですかね。最初はフワフワした感じもあったんです。憧れていた舞台に立てた喜びもあって。ただ自分がファイターとして成長してきて、今は大晦日に闘うことが自分の仕事というか、当たり前になってきましたね。

――4年もやっていると、「さあ忘年会だ」とか「クリスマスだからどこかに行こう」という一般的な感覚がなくなって「練習のシーズンだ」と。

朝倉 そうですそうです。その分年明けに楽しもうっていうマインドですね。

――前回の試合の後も「RIZINの中心は朝倉兄弟でありたい」とコメントしていました。かつては「RIZINに挑む」といった感覚だったと思うんですが、いつ頃から変化していきましたか。

朝倉 初めてメインイベントを任された時ですね。堀口選手との1戦目です。その試合に勝って、自分は一選手というよりRIZINを盛り上げる立場、引っ張っていく立場なんだと自覚を持つようになりました。もっとRIZINをメジャーにしたい、格闘技をもっとたくさんの人に見てほしい。そのために俺が頑張らなきゃ、と。

【次ページ】 堀口選手に負けた状態のまま海外には行けない

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