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野球善哉BACK NUMBER
ヤンキースのドラフト指名まで「プロ野球選手になるとは思っていなかった」来季10年目、加藤豪将27歳が語る現在地と“引退後の夢”
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byAFLO
posted2021/12/21 11:03
今季パドレス傘下3A(AAA)でプレーした加藤豪将。インタビュー後編では、Twitterで情報を発信する理由やセカンドキャリアについて聞いた
もっとも、日本の野球に興味がないわけではなかった。
3歳の時に住んでいたのが神奈川県で、横浜・松坂大輔の快投ぶりはアメリカ生活の中で何度も見たという。PL学園戦の250球の熱投や、明徳義塾戦のブルペンでテーピングを外すシーンなど。加藤に日本野球の印象を語ってもらうと、そんな話になった。
加藤が日本の野球を語るときは羨望の眼差しが強い。日米を比較して考えるということもないそうだ。
「日本の野球は自分から見て、ベースボールとの違いがすごいと思うことしかできないですね。朝練をやったこともないし、1000本ノックを受けたこともないので、わからない。日本の野球を見るときはいちファンとして見ていますね」
マイナー生活で手に入れた“チャレンジ精神”
メジャー傘下のチームに入ってからは過酷な日々を過ごした。
しかし、日本で”劣悪”とも言われるマイナーリーグの環境をネガティブに捉えることもなかったと言う。
「今、思えば、ホテルは良くなかったし、食べ物もカップ麺ばかり食べてました(笑)。でも、当時は友達の家に泊まりで遊びに行って次の日に野球をしているという感じでした。日本のプロ野球の一軍で活躍した選手からすれば『過酷』に思われるかもしれませんが」
その中で加藤が常に意識してきたことが、前編でも取り上げた環境変化への対応だった。
「17時間のバス移動が15年にあって、そのときは試合に出たくなかった。腰も痛くて疲れていましたから。でも、今、同じ機会があったら、このボロボロの体で、どこまで結果を出せるのか、チャレンジがしたいです。今まで行ったことのない街に行って、知らない球場に行って、食べ物がない、寝られてない、体は痛みだらけ、そんな状況でどれくらいの結果を残せるのか。メジャーに行くことになれば、また違うチャレンジがあると思いますが、そうしたことがどんどん楽しく感じるようになりました」
そう前向きに話す加藤の言葉を聞いていると、来季への期待が膨らむ。もしかすると、彼は現地のメジャーリーガーのような感覚を掴もうとしているのかもしれない。
Twitterで情報発信をはじめた理由
一方、最近ではSNS上の加藤もなかなか面白い。
11月に元々使用していたTwitterアカウントに加えて、サブ垢(サブアカウント)を開設した。そこではベースボールについての加藤の解説がふんだんに盛り込まれている。情報を世界中に発信するかのように。
加藤はその理由について、こう語っている。