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野球善哉BACK NUMBER
ヤンキースのドラフト指名まで「プロ野球選手になるとは思っていなかった」来季10年目、加藤豪将27歳が語る現在地と“引退後の夢”
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byAFLO
posted2021/12/21 11:03
今季パドレス傘下3A(AAA)でプレーした加藤豪将。インタビュー後編では、Twitterで情報を発信する理由やセカンドキャリアについて聞いた
「今まで自分が学んできたメジャーリーガーになるためのデータやテクノロジー、バッティング、スローイングの感覚が18歳の時にわかっていたら、どれだけ伸びていただろうかと思うんです。一人でも僕のツイートを見て、『このプレーを試してみよう、考えてみよう』と思う方がいたら嬉しいなと思ってやっています」
「発信すること」はアスリートにとって、とても大きなことだと思う。私事であるが、今月2日『BASEBALL アスリートたちの限界突破』(青志社)を上梓した。その執筆を通して改めて感じたことは、アスリートたちが、日頃考えていることや成功に至るまでの過程、スキルを言語化して発信できたとき、高い確率で大きな壁を乗り越えているということだ。
マイナーで9年。加藤はかなり多くのものを積み上げてきた。前編で語ってくれた「環境変化への対応」、そして新たにTwitterではじめた「体験を言語化して発信すること」。この二つは来季の彼にとって大きな下支えになるのではないか。
将来は「次の“加藤豪将”をお手伝いしたい」
最後に加藤の意気込みを聞いた。これからアメリカでどう生きていくのか、そして、現役を退いた後の夢の話まで。
「勝ちに貢献できる選手になりたい。セカンドを高校時代からやっていて、今はファーストやサード、ショートなど幅広い。また球団が変われば、バッティングのフィロソフィもそれぞれに異なる。(僕には)1~9番、あるいはベンチの選手にもなれるスキルがあると思う。カメレオンみたいに、どんな選手にもなれるというところを見せていきたい。
将来については、今やっているTwitterの発信だけじゃなく、自分がアメリカで経験したことを伝えたい。ヤンキースにドラフト2位指名された高いポイントから14、15年は(打率)1割しか打てなかった。アップダウンがすごくあるキャリアの中でいろんな人に手伝ってもらったり、話をしてもらったりしてきました。そういうことを次の世代に教えたい。次の“加藤豪将”になるような人をお手伝いしたいですね」
かつてジャーナリストを夢見ていた青年が、メジャーの舞台へあと一歩のところまで迫っている。22年、加藤にとって一つひとつの経験が人生の礎になるに違いない。(前編からつづく)