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《珍プレー好プレーの背景》下柳剛“怒りのグラブ投げ”や新庄ビッグボス“幻のサヨナラ満塁HR”、ノムさん→高津ヤクルトに繋がる金言とは
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKyodo News
posted2021/12/12 17:03
伝説の「敬遠球サヨナラ打」で大喜びの新庄ビッグボスと野村監督。「珍プレー好プレー」でも欠かせない存在だった
狙い通り内野ゴロに仕留めた……はずが、ショート秀太の守備が立て続けに乱れる。すると激怒した下柳がグラウンド上にグラブを叩きつけたのだ。秀太の凍りついた表情がすべてを物語るが、その後、スリーアウトに取った下柳は照れくさそうな笑顔を浮かべていたのも語り草になっている。
ただこの件については引退後の2016年に開催されたエキシビションマッチなどで、下柳がグラブ叩きつけを再現するなど“笑い話”に昇華できているようだ。
<名言3>
ミスで負けてしまった。僕の野球人生の中で教訓になるし、勉強になった。
(菊池涼介/Number924号 2017年3月30日発売)
◇解説◇
見ているだけで爽快になる好プレー集の常連と言えばもちろん菊池。ゴールデングラブ賞は今季で9年連続9回目。驚異的な反応でイレギュラーバウンドをつかみ取ったり、背走しながらのキャッチもお手のもの。山田哲人との守備指標について近年は話題になるが、忍者のようなディフェンスがスタジアムを魅了しているのは間違いない。
そんな菊池が「自らのミス」を責めたのは2017年WBCでのこと。予選ラウンドではヒット性の当たりをアウトにする超絶的な守備を見せていた菊池だが、準決勝アメリカ戦では痛恨のエラー。このミスがきっかけとなって先制点を献上してしまった。
敗戦後、反省の弁を残したが、菊池の守備力の高さはメジャー関係者も驚いたという。その悔しさがあるからこそ、今もなお守備職人としての研鑽に励んでいるのだろう。
ノムさんが語った「お客さん」の話
<名言4>
選手にね、「お客さんは入場料を払って来てくれてるんだ。お客さんが何を望んでるのか、試合が始まる前にちらっと考えてみろ」と、声を掛けていました。
(野村克也/Number782号 2011年7月7日発売)
◇解説◇
2011年、ベストセラーとなった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の著者、岩崎夏海氏との対談に臨んだ野村氏。緻密なID野球のヤクルト時代、そして若き田中将大を育て、大ベテランとなった山崎武司らを復活させた楽天時代など、グラウンド内での名将としてのイメージが鮮烈だ。
その一方で人一倍、ファンを楽しませる視点を持った人物でもあった。