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《珍プレー好プレーの背景》下柳剛“怒りのグラブ投げ”や新庄ビッグボス“幻のサヨナラ満塁HR”、ノムさん→高津ヤクルトに繋がる金言とは
posted2021/12/12 17:03
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kyodo News
<名言1>
今日のヒーローはぼくじゃありません……。みんなです!
(新庄剛志/Number832号 2013年7月11日発売)
◇解説◇
プロ野球再編問題から発展した日本初のプロ野球ストライキ明けの初戦となる2004年9月20日のダイエー戦で、日本ハムの「SHINJO」こと新庄は、9回裏2死満塁の場面でサヨナラ本塁打を放った! ……が、ここからが本当の“新庄劇場”だった。
一塁走者の田中幸雄は歓喜のあまりに新庄を二塁の手前で迎え、ふたりは抱き合ってその場で一回転した。だが、これによって新庄は前の走者(田中)を追い越したことになり、新庄にアウトが宣告され本来記録されるはずの本塁打は取り消された。
しかし、新庄は一塁まで到達していて、新庄のアウトより先に三塁走者が本塁へ到達しているので記録はサヨナラ適時打となり、サヨナラ勝ちは成立。「サヨナラ満塁柵越えシングルヒット」として記録されることになった。
アウトとなっているがダイヤモンドを一周し、本塁付近でチームメイトから手荒い祝福を受けた新庄は、ヒーローインタビューで、冒頭の言葉を口にした。なお新庄は阪神時代に「敬遠球をサヨナラヒットする」珍プレーから、球界屈指の守備範囲と強肩でアウトを奪ったり、オールスター史上初の単独ホームスチール成功させるなどの好プレーまで、話題に事欠かないプレーヤーだった。
飄々とした下柳の“グラブ叩きつけ”
<名言2>
俺は若手を引っ張るような性格じゃない。でも、若い選手に自分が苦しんでる姿を見せられたらと思う。
(下柳剛/Number713号 2008年10月2日発売)
◇解説◇
飄々とした性格で、ヒーローインタビューは人を食ったような発言で煙に巻いてきた下柳。だが見えないところでは人一倍過酷なトレーニングで自らを追い込んでいた。そうでなければ30代後半から40代にかけての4年連続2ケタ勝利という好成績は残せなかっただろう。
その下柳が「珍プレー好プレー」で何かとピックアップされるのは、横浜スタジアムで行われた2007年シーズン終盤戦の一場面である。