「打たれてしまったのは反省すべき点ですが、帰って来たなって強く感じた瞬間でした。とくに、初回をゼロで抑えたことが僕にとって大きかったし、緊張感ある一軍のマウンドを久しぶりに味わうことができただけでも意味がありました」

　東の生命線といえば、ベース板の上で強い威力のあるストレートだが、復帰後は、回転軸のブレないスピンの効いたボールが走っていた。MAXは148キロ。新人王を獲ったときのように150キロを超えずメディアからは球速について言及されたが、当の本人は気にはしていなかった。

「たしかに球速は出ていませんが、アナリストの方々からは真っすぐで押し込めているとデータを見せてもらいました。そういう意味では球速にこだわらずやってこられたのが、今年のひとつの収穫ですね」

　実際、ファームではファールされていたストレートは、一軍に来ると空振りが取れるようになった。これもまた東ならではの修正力。そんな東のストレートを見て立命館大の後輩の坂本裕哉は「すごいですよね。さすがです」と感嘆していた。

生まれ変わって得た進化

　また復帰後の変化といえば、これまでのチェンジアップ、スライダー、カーブに加え、カットボールを使うようになったことだろう。左右の打者関係なく上手く使い分け芯を外す巧みなピッチングを身に付けていた。

「球速が出ていなかったので、新たな変化球が欲しいと思い大家友和コーチに習って投げ始めたんです。使ってみて非常に手応えを感じましたし、引き出しがひとつ増えたなって。今後も使っていきたいなと考えています」

　フォームはテイクバックが小さくなり、股関節の可動はスムーズに。課題だった右膝の割れも修正できた。新しい球種も手に入れ、文字通り東は生まれ変わった。

「やっぱりなにかを変えて、進化して戻ってこなければ、これまでのリハビリ期間が意味をなさないことになってしまうと思ったので、このような形で復帰でき良かったと思っているんです」

　カムバックのハイライトとなったのは、自身3試合目となった10月23日の中日戦（横浜スタジアム）だろう。約2年ぶりのハマスタ。マウンドから見る景色は壮観だった。

「完璧な雰囲気でした。ファンの方々の応援がすごく後押しになったゲームだったと思います」

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