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《昨年結婚、今年は子供も》DeNA東克樹に792日ぶりの復活勝利をもたらした、トミー・ジョン手術リハビリ期間の“自分との対話”
posted2021/12/13 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
来シーズンに見えた一筋の明るい光――。
2020年2月、横浜DeNAベイスターズの東克樹は、左肘内側側副靭帯の損傷によりトミー・ジョン(TJ)手術を行った。
かつて新人王を獲得した怪腕サウスポーは、今年7月11日にロッテとのファーム戦において実戦復帰。手術からマウンドに帰ってくるまで、約1年半の時間を要した。
東は術後、日々の努力が水泡に帰すことのないよう慎重にリハビリを重ねてきた。
「やっぱり時間はかかったと思います。不安を払拭するためにいろんなトレーニングや治療をやってきましたから」
恐怖からの開放
リハビリの最中、最悪戻れなくなるかもしれないと考えたことはなかったか?
「うーん、可能性としてはゼロではないので、正直頭の中をよぎることはありましたね……」
そう言うと次の瞬間、東は少し安堵した表情を見せた。
「ただ、実戦で投げ始めたら痛みが出ることはなかったんです。もちろん、いつ出てもおかしくはない状況なので気にしながら調整していきましたが」
投球後、痛みが出るか出ないか。リハビリ中に苦しんだ痛みとの戦い。少なからずこの恐怖から解放されつつあることが、東にはなによりも嬉しいことだった。
その後、東はファームで球数とイニング数を着実に増やしていき7試合を投げ、32回1/3を防御率1.95という上々の数字を残し、調整期間を終えた。9月20日のファームの日ハム戦で投げると、後日練習前にピッチングコーチの藤岡好明から声が掛かった。
「次は上で行くぞ」