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大宮アルディージャはなぜ“J2の深い沼”に引き込まれたのか? 辛くも残留を決めた霜田監督「この苦しみを絶対に忘れない」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byMasashi Hara
posted2021/12/06 17:01
J2残留を決め、安堵の笑顔を浮かべる南雄太(左)ら。夏に期限付き移籍で横浜FCから加入した42歳のベテランGKは残留に大きく貢献した
「ここから大宮は生まれ変わりたい」
最後まで苦しみ抜いた今シーズンは、大宮にとってどんな意味を持つのか。群馬戦を前に、キャプテン三門がこんな話をしていた。「シモさん」と呼ばれる霜田監督就任後の変化を、経験豊かな34歳はポジティブにとらえている。
「シモさんが来て戦術がはっきりして、ゴールの奪いかた、守りかたがしっかり整理された。もしかしたら、5バックとかにして足の速い選手を前に置いて、カウンターで固いサッカーをすればもう少し早く勝ち点を取れたかもしれないですが、相手に押し込まれてどうしようもないというサッカーではなかったし、ここをしっかりと乗り越えていければ、来年はもっと面白いサッカー、みんなが興奮するようなサッカーができるんじゃないかと思っています。それは、守って守ってカウンターのサッカーで残留したらできなかったかもしれない。だから、絶対に残りたいという思いがあります」
霜田監督の大宮はJ2残留という現実と向き合いながら、新シーズンへの土台作りにも取り組んでいった。それゆえにミスが起こり、手痛い失点もしたが、J2残留は逃さなかった。
群馬戦を終えた霜田監督は、「ここから大宮は生まれ変わりたい。この苦しいシーズンを絶対に忘れることなく、本来いるべきディビジョンを目ざして頑張っていきたい」と話した。同日には続投も発表された。来シーズンに向けた編成も、速やかに進めることができる。
アルディージャは選手を大切にするクラブとして知られ、自分たちのクラブハウスとグラウンドがあり、サッカー専用スタジアムをホームとする。保有戦力も決して悪くない。そうした背景からJ1昇格候補にあげられてきたが、2シーズン連続でJ1昇格争いには絡めていないのだ。
霜田監督が話しているように、いまこそ変わらなければならない。自分たちが変わることで、未来を切り開いていくのだ。