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大宮アルディージャはなぜ“J2の深い沼”に引き込まれたのか? 辛くも残留を決めた霜田監督「この苦しみを絶対に忘れない」
posted2021/12/06 17:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Masashi Hara
2021年のJ2残留争いは、史上もっとも苛酷だったと言っていい。20年がコロナ禍の特別なレギュレーションで行なわれたため、今シーズンは下位4チームがJ3へ降格することになったからだ。
12月5日の最終節を前に、愛媛FCと松本山雅FCの降格が決まった。愛媛は06年の昇格から16シーズンにわたって、J2に留まってきた。松本は2度のJ1昇格を経験しており、2シーズン前はJ1で戦ったチームである。J2の苛酷さが想像できるだろう。
大宮アルディージャも残留争いに巻き込まれた。
16年のJ1で過去最高の5位に躍進し、18年のJ2降格後も5位、3位と上位に食い込んでいたが、昨年は15位に沈んだ。そして今シーズンは、最終節で辛うじてJ2残留を決めた。
霜田監督の手腕で降格圏から浮上も、3連敗で窮地に
J2で連続4シーズン目となる今シーズンは、OBの岩瀬健監督を迎えてスタートした。18年に柏レイソルで2試合だけ采配をふるったことがあるもの、実質的に初めてチームを率いることになる新監督は、2度の3連敗を含む2勝5分8敗の成績で5月下旬に解任された。そこから元なでしこジャパン監督の佐々木則夫トータルアドバイザー(当時)が暫定的に指揮し、6月13日の18節から霜田正浩監督が就任する。この時点でチームは、J3降格圏の21位に沈んでいた。
18年から20年までJ2のレノファ山口を指揮した霜田監督は、「試合では事故のような失点もある。1失点しても勝てるように、2点取れるサッカーをしないといけない」とし、攻守におけるプレーモデルを提示していく。「相手に合わせるのではなく、自分たちがどうやって守り、どうやって点を取るのか」にフォーカスし、ポゼッションとカウンターの使い分けを整理した。負けていた試合を引き分けへ、引き分けの試合を勝利へ、少しずつ変えていった。