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[強竜復活への誓い]立浪和義「古くもなく、新しくもなく」
posted2021/12/04 07:00
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph by
Yoshiyuki Hata
プロ野球にこの男が戻ってきた。12年ぶりにドラゴンズブルーに袖を通したかつての英雄は、時代遅れと言われようと、信念を曲げるつもりはないという。一方で、変化もまた受け入れる――。52歳の新指揮官が現在の胸中を明かす。
日本シリーズの裏で中日ドラゴンズは変革の秋を迎えていた。ナゴヤ球場でのキャンプ最終クール。枯れた色になった芝生の上で選手たちがキャッチボールを始めた。少し離れたところでコーチ陣や裏方スタッフが見守っている。
そこに立浪和義が現れた。就任したばかりの新監督はバットを手にしていた。現役時代と変わらず、それを自らのシルエットの一部にしたまま、選手たちの中へと歩いていった。すると選手やコーチ、スタッフとバラバラに形成されていたいくつかの人群れが混じり合い、境界がなくなった。
「キャンプの最初に茶髪がダメとか、髭がダメとか言ったので選手も構えていたところはあったかもしれませんが、監督の仕事はみんなを従わせることではなく、いかにやる気を出してもらうか。選手の能力を伸ばして、底上げをすることですから」
練習の合間、インタビュー室にやってきた立浪はまずそう言うと、ふっと笑った。身だしなみについてチーム内のルールを打ち出した新監督は、その一点によって日本ハムファイターズの新庄剛志との「新しさ」と「古さ」の比較対象にされていた。自嘲気味の笑みは、場外で続くそうした論争に向けられたもののようだった。