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大相撲最強王者の抜けた穴…“ポスト白鵬”はどうなる? 横綱照ノ富士の一強時代か、貴景勝ら大関が巻き返すか…“不気味な存在”は?
text by
荒井太郎Taro Arai
photograph byKYODO
posted2021/11/24 17:07
九州場所も10日目まで全勝の照ノ富士。“ポスト白鵬”は照ノ富士の一強時代になるのか、それとも…
今場所前は7日に福岡入りすると連日、同部屋の隆の勝と稽古を重ねてきたといい、「しっかり(準備は)できたと思うので、あとは力を発揮するだけかなと思います」と調整は順調だった様子。蓋を開けてみると頭から当たって、さらに二の矢、三の矢とぶちかましながら前に押していく本来の相撲が復活し、初日から快調に白星を積み重ねていった。
8日目は直近2連敗中の巨漢、逸ノ城を押し切れず、最後は土俵下まで吹っ飛ばされたが、相手の髷掴みによる反則で“命拾い”の白星を得た。のちに振り返れば、大きな1勝となるかもしれないが、後半に入ってやや勢いが失速気味なのが気にかかる。10日目は関脇明生に土をつけられたが、横綱との直接対決を前にこれ以上、引き離されるわけにはいかない。
“ポスト白鵬”はどうなる? 不気味な存在は…
三役在位は連続9場所目、通算では27場所目と実力は申し分ない関脇御嶽海は9日目、早々と勝ち越しを決めると「いつも期待させるだけなので、そろそろ結果を出さないと」と意欲的に語った。大関取りの起点となる10勝を射程内に捉えたが、優勝2回の実力者にはそれ以上のものを求めたい。しかし、過去には好調から一転、1つの黒星をきっかけに大失速するパターンも少なくないことから、2敗目を喫した10日目の宝富士戦の淡白な相撲内容が懸念される。
10日目の時点で全勝の横綱照ノ富士を大関貴景勝と前頭15枚目の阿炎が1敗で追い、さらに関脇御嶽海ら4人が2敗でこれに続く。先場所と違い、複数の番付上位者が優勝争いに名を連ねるとやはり土俵は引き締まる。そんな中、出場停止3場所の処分を経て幕内に復帰した元小結阿炎は今後、上位戦に抜擢される可能性は十分。思い切りのよさが持ち味の上にノープレッシャーの立場だけに、なかなか不気味な存在だ。
白鵬引退後の角界は照ノ富士の一強時代が到来するのか。それとも燻る実力者たちの中から抜きん出て、一人横綱に追随する者が出現するのか。“ポスト白鵬”を占う意味でも、終盤の5日間は大いに注目だ。