柳町が“長谷川2世”たる理由

　今季がプロ2年目。昨年は12試合出場で4打数1安打1打点の打率.250。そして、今シーズンは20試合出場で48打数11安打1本塁打2打点の打率.229だった。

　目立った成績ではない。なぜ、長谷川コーチが後継指名をしたのか、この数字だけでは計り知れない。

　ただ、長谷川コーチは柳町のことを「じっくり球を選んで打つ」と言っていた。データを紐解くと興味深い数字が浮かび上がった。今季一軍で54打席しか立っていないが、うち28％にあたる15打席でフルカウントまで持っていっていた。10打数3安打3三振5四球。打率3割も立派だが、出塁率.533も大したものだ。一方で、初球打ちや第1ストライクから積極的に狙いに行く打席も少なくはない。打席の中で幅広い待ち方が出来ている証拠だ。

「選球眼は僕の強みだと思っています。元々こだわりというか、しっかり打てる球を打って、ボールを見逃すのが基本じゃないですか。それを小さな頃からやってきた積み重ねだと思っています」

　小さな頃から――。

　柳町の野球人生を辿ると、エリート街道に映る。茨城県出身。取手シニアに所属した中学校2年生の時には全国Vを経験。慶應義塾高に入学してすぐにレギュラーとなり1年夏の大会からクリーンナップを打った。その後、慶應義塾大学へ進学。東京六大学野球リーグの伝統校でも1年春からさっそくレギュラーをつかんだ。

　慶大では輝かしい実績を次々と積み上げ、各校のエース級を打ち砕いた。1年生春のリーグ戦で明大のエースだった柳裕也（現ドラゴンズ）から2安打。2年生春のリーグ戦でも早大の早川隆久（現イーグルス）から逆転満塁本塁打。3年生春にはリーグ優勝し全国大学野球選手権に出場。苫小牧駒澤大学（現北洋大学）戦では今年の東京五輪でも活躍した伊藤大海（現ファイターズ）から3安打した。

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