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「打率10割打てば、悩まなくて済む」求道者たる柳町達はホークス外野陣“残り1枠”をつかめるか〈長谷川コーチが“後継者”に指名〉
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2021/11/18 06:00
長谷川勇也一軍打撃コーチが「後継者」に指名した柳町達(24歳)。“残り1枠”の外野のレギュラーをつかめるか?
慶大卒の“野球エリート”に見えるも「挫折はたくさん経験しています」
慶大では4年間で計8シーズンのリーグ戦通算102試合にフル出場した。また、歴代13位となる通算113安打も記録。中央球界での華々しい実績を引っ提げてのプロ入りだった。
前述したように、この2年間は一軍で胸を張れるような成績を残してはいないものの、ウエスタン・リーグでは1年目が打率.295、2年目の今季は打率.294だったがリーグ最多となる88安打を放ったことを考えれば、右肩上がりに成長をしているといえよう。
また、慶大出身でスマートな顔立ちをしており、それもまた「野球エリート」という言葉を連想させてしまう要因の1つだ。
或いは、バッティングで挫折などしたことがないのかもしれない。そんな言葉を投げかけると、普段クールな男が少し口調を熱くしてこう返してきた。
「いや、ずっと悩んでいますよ。挫折というか、ちょっと打てなくなると考えて、そして良くなって、また打てなくなって考えて良くなる。その繰り返しだと思います。だから挫折はたくさん経験していますよ」
求道者と呼ばれた長谷川コーチの現役時代と、どこか重なる言葉のように思えた。
「本音を言えば、悩みたくないですよ。だけど、悩んで、考えていかないと結果を出せない世界だと思う。極端ですけど打率10割打てば、悩まなくて済む。だから、その究極を目指して、自分の形を作り上げていきたいです」