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大谷翔平を一番近くで支える通訳・水原一平が明かす“ウラ側”「9月の頭は元気がなかった」「翔平の前で甘いモノは絶対に食べません」

posted2021/11/20 17:02

 
大谷翔平を一番近くで支える通訳・水原一平が明かす“ウラ側”「9月の頭は元気がなかった」「翔平の前で甘いモノは絶対に食べません」<Number Web> photograph by Getty Images

オールスターのホームランダービーでは、水原通訳をキャッチャーに起用。「後ろに僕より緊張している人がいた方が楽かなと思って」と、その理由を笑顔で明かした

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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 エンゼルスの大谷翔平投手が日本時間19日、ア・リーグMVPを受賞した。日本選手の受賞は2001年のイチロー以来2人目、そして満票での受賞は大リーグで6年ぶりだった。

 発売中のNumber1040号『大谷翔平2021完結編』では、巻頭で今季を振り返る本人のロングインタビューを掲載している。こちらの号から大谷を支える通訳・水原一平氏のインタビューを特別に公開する。

二刀流で戦い抜いた今シーズン、調整は大谷自身に任されていたという。最も間近で支えた水原一平氏が語る、激闘の日々と素顔の翔平とは。

「9月の頭ごろは元気もなかったし、笑顔も少なかった」

 今シーズン、とくに大変だったのは9月の頭くらいですね。ストライクを投げてもらえない、勝負してもらえない。たまに審判にとんでもないボール球をストライクとコールされたりして、翔平もお手上げ状態、どうすればいいのかという時期でした。

 でも翔平はその間もブチ切れることなく、耐えていました。それでもやっぱり精神的にやられてるなという感じはありましたね。元気もなかったし、笑顔も少なかった。プレーしていても楽しそうじゃなかったんですよ。序盤に(マイク・)トラウトと(アンソニー・)レンドーンがケガで離脱して、でも2人が復帰するまで何とか(勝率)5割で持ちこたえればプレーオフへ行けるんじゃないかと頑張っていたとき、レンドーンが今季絶望、トラウトも復帰のメドが立たなくなった。プレーオフ出場が一気に厳しくなる中でプレーする翔平は、辛そうに見えました。オールスター明けに2人でスケジュールを見ながら「この先、18連戦と14連戦がある、ここが山場だね」という話をしました。頑張って乗り越えよう、みたいな……実際、今年は疲れているから休みが必要だなと思ったことは一度もありませんでしたね。終わってみれば1年間、大きなケガもなく終えられたので、そこが一番の収穫だったのかなと思っています。

 今年の翔平はフルシーズン、休みなくピッチャーとバッターの両方をやるということで、調整を彼自身に任されていました。全体練習に出られないことも多かったので、(マット・)ワイズ投手コーチと(ジェレミー・)リード打撃コーチには常に「今日はいつ、何をします」と報告をして、コミュニケーションをしっかり取るようにしていました。とくにブルペンで投げる日は何時に球場へ入って、何時に外へ出て、何時にブルペン入りしますと、細かく伝えることが大事でしたね。チームメイトに対しても、とくにピッチャー陣は全員で集まってアップをするので、リーダー格のピッチャーには全体練習には参加できないこともあると話をして、理解してもらいました。そのおかげもあって、翔平は自分のペースで調整できていたと思います。

【次ページ】 「動きがキモい」僕のこともイジってくる

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