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大谷翔平を一番近くで支える通訳・水原一平が明かす“ウラ側”「9月の頭は元気がなかった」「翔平の前で甘いモノは絶対に食べません」 

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byGetty Images

posted2021/11/20 17:02

大谷翔平を一番近くで支える通訳・水原一平が明かす“ウラ側”「9月の頭は元気がなかった」「翔平の前で甘いモノは絶対に食べません」<Number Web> photograph by Getty Images

オールスターのホームランダービーでは、水原通訳をキャッチャーに起用。「後ろに僕より緊張している人がいた方が楽かなと思って」と、その理由を笑顔で明かした

「動きがキモい」僕のこともイジってくる

 よく「大谷さんってどんな人ですか」と訊かれるんですけど、そういうときは「とにかく謙虚です」と答えています。いや、本当に謙虚なんですよ。謙虚で、普段はそこらへんにいる27歳の子と何も変わんない。冗談も言うし、ユーモアのセンスもあるし、僕のこともイジってくる……よくイジられますよ、「動きがキモい」とか(笑)。一応、僕もバスケとかサッカーをやってきたのに、動きが固くて、走り方や投げ方が変だって、翔平は言うんです。だから半分冗談、半分本気で「キモッ」って。

 翔平、優しいところもあるんです。妻と犬たち……オスのフレンチブルドッグとチワワのオス、メスが1匹ずつ、家にいるんですけど、翔平は「遠征が多くて家にいられないことが多いんですから、一平さん、なるべく家族と一緒に過ごして下さいね」って言ってくれます。まぁ、言葉にしてくれるのは、たまーに、なんですけど(笑)。

 一緒にいる時間が長いと食事が一緒になることも増えますけど、翔平はいろんなことに気を配って食べるものを選んでいますね。僕ですか? 僕はけっこう自由に食べてます。もちろん翔平が食べられないものを翔平の目の前で露骨に食べるのは、ちょっとは避けようと思ってますよ。翔平は甘いものが好きですけど、僕も甘いもの好きで、ダークチョコ以外は何でも食べます。ダークチョコは翔平も苦手だったんじゃないかな。もちろん甘いものは翔平の前では絶対に食べません。裏で食べてます(笑)。

「翔平に彼女はいるのか」「いないよー」

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 選手たちからよく訊かれるのが「翔平に彼女はいるのか」「アメリカ人の彼女はできたのか」という質問です。これは定期的に訊かれています(笑)。それを通訳すると、翔平は「いないよー」と言うので、僕も定期的に「いないよー」と訳します。そうすると「本当か?」と突っ込んでこられるので、そこは「さあ、わかんない」と言うことにしています(笑)。そもそも、今の翔平の英語力はめちゃくちゃ上達していて、この手の質問はもう訳さなくても大丈夫なんですけどね。とくに聞き取るほうはほぼほぼ理解していると思いますよ。

 ファイターズのときから翔平は誰もやったことのないことに挑戦して、そういうことに慣れているのかもしれませんけど、でも何かを背負ってる素振りを表に出さないのは本当にすごいと思います。自分のやりたいことを淡々とこなしながら、背負っているものの大きさを周りに感じさせない。映画を観たりしても翔平が涙を流しているところは見たことがないし、僕も泣くタイプではないんですけど、でも、もしワールドシリーズで勝ったりしたら、僕は泣いちゃうかもしれません。ファイターズが日本一になったときは全然、そんな感じにならなかったので今は想像がつかないんですけど、さすがに泣くんじゃないかなと思います。翔平ですか……翔平に泣くイメージはないなぁ。笑いながら、僕が泣いているのを見て、こう言うんじゃないですか。

「キモッ」って(笑)。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

Number1040号掲載の大谷翔平ロングインタビュー「チームを勝たせる二刀流を目指す」では、二刀流でフルシーズンを完走する中で得た感覚、投打のビッグプレーの裏で感じていたこと、来季への思いやプライベートまで、本人がたっぷりと語っています。ほかにもマドン監督やトラウトらチームメイト、栗山英樹前日本ハム監督たちが語る今季の活躍、投打走の「SHO-TIME」全記録集など、歴史的なシーズンのすべてが詰まった内容です。ぜひご覧ください。

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