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イチロー「大輔は唯一かもしれないね。僕にとっては」 引退・松坂大輔を《同志》だと語った理由…第2回WBCで体はボロボロになっていた
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/11/14 11:02
レッドソックスで1年目に15勝、2年目の2008年には日本人投手歴代最多の18勝をあげた松坂大輔
思うことがある。イチローさんの言葉通り、松坂大輔は、常に自分だけでない何かを背負いながら野球をしてきた。高校時代の春夏連覇、WBC連覇等。確かに主役の座は松坂に与えられたが、彼はその真ん中に立ちながら常にチームメイトに心を配り、結果のために自己犠牲を自らに強いてきた。レッドソックス時代もチームメイトのミスをかばうために首脳陣から誤解を受けたことも多々あった。自分をもう少しだけ優先していれば、ケガの苦しみも少なくなったのではないか。そんな気がしてならない。イチローさんもそんな松坂の姿を感じ取っていた。
「あいつのことが好きな人は、そういうことを、彼のうちに秘めた想いとかをね、そういうところが好きなんだろうしね。ただ投げている人ではない」
「平成の怪物」の素顔
プライベートではゴルフが大好きで腕前はプロ並み。300ヤードのドライバーショットを誇りながら、グリーン周りではピッチエンドラン、スピンアプローチ、ロブショットを打ち分ける技術を持つ。その姿は全盛時の豪球と鋭い変化球を投げ分ける投球術とも重なる。米国で取材する日本人メディアとは遠征地でよく食事をともにし、記者陣からは「大ちゃん」と親しみを込めて呼ばれ、メディア各社には多くの仲間、いや友人がいる。
平成の怪物とはそんな男。ファンに夢を与え、野球メディアには多くを教えてくれた優しい野球選手に「お疲れさま、ありがとう」の言葉を贈りたい。