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「争奪戦は間違いない」「右の松井として評価」鈴木誠也を絶賛したメジャースカウトの言葉…《松井秀喜+井口資仁》のような活躍がカギ? 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2021/11/01 17:20

「争奪戦は間違いない」「右の松井として評価」鈴木誠也を絶賛したメジャースカウトの言葉…《松井秀喜+井口資仁》のような活躍がカギ?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

10月17日に38号HRを放った際の鈴木誠也。注目されるメジャー挑戦の行方は…

苦労しながらも高い評価を得た日本人野手

 直近では、19年オフに海を渡った秋山翔吾と筒香嘉智は苦労を重ねているが、彼らだけが直面した特殊事情も考慮しなければならない。

 新型コロナウイルスの猛威で1年目の春キャンプはわずか3週間で中断した。適応への時間が奪われてしまっただけでなく、実戦練習ができないままに7月の開幕を強いられ、シーズンもわずか60試合で終わってしまった。メジャー流への適応が求められる移籍1年目にこれほど厳しい環境はない。秋山と筒香だけが味わった憂き目であり、1年目としては差し引かなければいけない部分である。

 2年目を迎えた今季、不幸にも秋山はキャンプイン後に夫人が倒木事故にあい離脱。遅れを取り戻そうとしたオープン戦では太腿を痛めるなど不幸が重なり出場機会に恵まれなかったのは気の毒だ。その一方で、筒香は8月のパイレーツ移籍後から適応を果たし、最後の1カ月半では打率.268、8本塁打を放ち評価を取り戻した。喜ばしい事実である。

 過去、苦労しながらも、高い評価を得た日本人野手は多い。その代表例が松井秀喜と井口資仁ではないか。

「野球IQが高い」素晴らしい特徴

 09年のワールドシリーズでMVPにまで登り詰めた松井はニューヨーク・ヤンキースに於いて「Clutch(勝負強い)」の称号をほしいままにし「RBIマシン」と称された。守備力に関しても、強肩、俊足とは言えなかったが、的確な状況判断力と素早い送球で高い評価を得た。

 現在、千葉ロッテマリーンズで指揮をとる井口資仁は05年のシカゴ・ホワイトソックス世界一に「2番・二塁」のレギュラーとして貢献した。打率.278、15本塁打の数字の他に、状況に応じた的確な打撃でラインナップの生産性を高めた。当時、ホワイトソックスの監督を務めたオジー・ギーエンは井口の働きを“陰のMVP” と評し、こんな言葉で称えた。

「彼ほどに野球を深く理解している選手はいない。彼がいたおかげで我々は世界一を成し遂げることができた」

 松井秀喜、井口資仁だけでなく日本人選手は「野球IQが高い」と評価されている。試合展開の中で、走攻守に於いて、状況に応じ、すべきことを確実に実践する能力は日本人野手の最も素晴らしい特徴と言える。

【次ページ】 メジャースカウト「右の松井秀喜として評価している」

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