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V6「バレーやらない?」嵐「you達やっちゃいなよ」…なぜW杯から国民的ジャニーズアイドルは生まれ続けたのか
posted2021/10/31 17:02
text by
霜田明寛Akihiro Shimoda
photograph by
Getty Images
26年前、四半世紀以上続くことになる国民的アイドルグループは、こんな意外な一言から誕生した。
「バレーやらない?」
グループ名は「V6」。言葉の主は、ジャニー喜多川。1995年、ジャニーズ事務所の創業社長である彼が、数多くいるジャニーズJr.の中からV6のメンバーを選ぶときに使っていたのがこの言葉だった。V6のVには「バレーボール(volleyball)」という意味も込められているという。そして11月1日、V6は解散の日を迎える。
V6のデビュー基準は「バレーをやるか、やらないか」
「キャリアがあってメンバーに入れたい子に声をかけたら『バレーなんてやってどうするの?』。やる気がない人を無理にひっぱってもしょうがないでしょ。あとで『なんで僕を入れなかった』って。あれだけ確認したのに、『君がそんなことやりたくないって、言ったでしょ』。そういうのが三人いた」(*1)
後にジャニーは、V6の候補メンバーを選んでいた時のことをこう話している。もちろん、彼らは歌い踊るアイドルであって、バレー選手ではない。「CDデビューしたいか?」という質問であれば即答したはずだ。だが、そこをぼかした「バレーをやるかやらないか」という質問はそれでも絶対的な基準だったようで、実際に「やりたくない」と返したジャニーズJr.は候補メンバーから外された。
「Youやっちゃいなよ」の一言で所属アイドルたちに色んなことを課してきたジャニーが、この時「バレーやらない?」で問うたのは、デビュー候補者たちの損得勘定のない“やる気”だったのかもしれない。
そうした“選考”を経た1995年の9月。最終的に14歳から24歳までの6人(坂本昌行・長野博・井ノ原快彦・森田剛・三宅健・岡田准一)が集まり、ジャニーズアイドルグループ・V6は結成された。
正式にデビューが発表されたのは、1995年の9月4日。バレーボールワールドカップのイメージキャラクターとして活動を開始する。試合前の会場ではデビュー曲を歌うパフォーマンスを行い、それらは放映権をもったフジテレビによって全国放送された。翌年には「春の高校バレー」のイメージキャラクターも務めるなど、デビュー初期のV6はバレーボールと切り離すことはできないグループだった。両大会のイメージソングとして起用されたデビューシングル『MUSIC FOR THE PEOPLE』は、現在でもグループ史上2番目のセールスを記録するヒットである。
そして、このV6による成功が、その後も続く“4年に1度のバレーボールワールドカップのイメージキャラクターとしてデビュー”というジャニーズの慣習を作っていくことになったのだ。
あの国民的グループも「you達もバレーやっちゃいなよ」
V6のデビューから4年。滝沢秀明を筆頭に、現在の関ジャニ∞のメンバーなど、“黄金期”とも呼ばれるほど人気が沸騰していたジャニーズJr.の中から5名が選ばれた。1999年のバレーボールワールドカップのイメージキャラクターを務めた「嵐」である。