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「カラフルだね(笑)。カッコいいよ」新庄剛志の“巨大リストバンド”に、02年ジャイアンツ時代の指揮官が語っていた意外な本音 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2021/10/29 17:02

「カラフルだね(笑)。カッコいいよ」新庄剛志の“巨大リストバンド”に、02年ジャイアンツ時代の指揮官が語っていた意外な本音<Number Web> photograph by Getty Images

2002年、ジャイアンツに所属していた新庄剛志と当時のベイカー監督

新庄剛志の巨大リストバンドを見て「カラフルだね(笑)」

 また、当時ジャイアンツに所属していた新庄剛志氏のトレードマークとなっていた、巨大なオレンジのリストバンドについて、ベイカー監督はこう語っていた。

「カラフルだね(笑)。それで相手を挑発したり、リスペクトを欠くような態度は見せてはならないが、個性があるのはいいことだよ。最近は単なる首飾りとは思えないようなネックレスをしている投手もいるし、ピアスをしている選手だって多い。サダハル・オー(王貞治)のスタイルとは違うだろうけど、カッコいいと思うよ」

 それ以外に何を話したかはよく覚えてないが、話の折々に音楽や映画の話題が登場する。野球以外にも多彩な趣味を持っていて、人生を満喫しているような感じだった。それは今年のプレーオフにおける会見でも随所に現れ、自分の心境やチームが置かれている状況を、映画や曲に例えて表現する姿が愉快だった。

「サイン盗み疑惑」にクラプトンの名曲で回答

 たとえば、ホワイトソックスとのア・リーグ地区シリーズで、ヒューストンで打線が爆発したのにシカゴで沈黙したことを受け、アストロズが2017年のように地元球場でサイン盗みをしているのではないかと相手救援投手が示唆した際には、こう述べた。

「随分と大げさな告発をするもんだ。我々は得点もOPSもホームよりロードの方がいいんだけどな。……あんまり反応するようなことじゃないが、ちょうど今朝、エリック・クラプトンを聴いていた。彼の歌に『Before You Accuse Me(俺を責める前に)』ってのがある……自分自身を見てみなよってね。私が言いたいのはそれだけだよ」

 ベイカー監督が口にした「Before You Accuse Me」は、ボ・ディドリーが1958年に発売したシングル・レコードのB面の歌で、ブルースがアコースティックからエレクトリックに移行してロックンロールのルーツとなった頃の名曲だ。クラプトンが1989年のアルバム「ジャーニーマン」、1992年の「アンプラグド」に収録したことで我々のような後の世代にも知れ渡ることとなったが、ある意味、「知る人ぞ知る」名曲と言える。

 歌詞自体はそんなに深く掘り下げるようなものではないし、そもそも「サイン盗み疑惑」も、米メディアが「悪者アストロズ」として何とか再燃させようと誘導尋問したことに、ホワイトソックスの救援投手が反応しただけの話なのだが、御年72歳の指揮官は、自身の豊富な知見で『おい若造、他人のことは放っとけ、自分のことだけやってろ』と突き刺した。

【次ページ】 今季は新庄剛志所属時以来のワールドシリーズ進出

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