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「みんな『松坂世代』と言われることに誇りを持っている」盟友・赤田将吾が明かす松坂大輔と西武復帰後に酒を酌み交わした夜
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/20 11:04
リラックスした表情で練習に励む松坂大輔と赤田将吾(2000年3月)
しかし、アジアAAAの合宿で初めて会った松坂の素顔は、それまで赤田が抱いていた印象とは全く違った。甲子園で大活躍した全国区のスターだと身構えていた赤田に対し、松坂の態度は予想外だったのだ。
「確か初対面で『(赤田の)前腕(の太さ)ヤバくね?』と話しかけられたんですよ。こっちは松坂はスターだからって、そういう心構えで入るのに、松坂はそんな空気を全く出さなくて、昔からの友だちみたいな感じなんです。びっくりしました。そういうところが彼の人間としての魅力なんじゃないかなって今でも思いますね」
その後、至る場面で『松坂世代』という表現が使われるようになった。「それに対して誰も異を唱えないいのは彼の人間性が素晴らしいからだと思う」と赤田は言う。
確かに、1980年度生まれには逸材が揃っていた。投手であれば藤川球児(元阪神)、和田毅(ソフトバンク)、杉内俊哉(元ソフトバンク)ら。打者なら村田修一(元横浜)、東出輝裕(元広島)などそうそうたるメンバーだ。「いや、俺だって」と、『松坂世代』と呼ばれることを嫌がる選手がいてもよさそうなものだが「いっさいいない」と赤田が断言する。
「異論を唱える人は誰一人、いないでしょう。みんなが『松坂世代』と言われることに誇りを持っている。みんな『そりゃそうだ』って納得して不満はない。それくらいすごい投手だし、松坂に人徳があるからです。松坂としゃべった人はわかると思う。誰にでも同じように接して、表裏もない。壁を作ってないですもんね。だから好かれるんです」
あれほどのスターでありながら、人を寄せ付けないどころか、松坂の周りにはいつも人がいるのはその性格ゆえだと語った。
再び同じユニフォームに袖を通した2人
ライオンズでチームメートとして8年過ごしたあと、松坂は2007年にメジャーリーグへ。赤田は10年にライオンズからトレードでオリックスに移籍し、14年に日本ハムで現役生活にピリオドを打った。そして翌年からライオンズにコーチとして復帰。19年、松坂が古巣に戻り再び同じユニホームに袖を通すこととなる。
14年ぶりとなるライオンズへの復帰で、メンバーの顔触れもほとんど変わっていたが、そんな中、松坂が頼りにしたのは一軍打撃コーチの赤田だった。春季キャンプの際、宮崎では休日前に部屋で酒を酌み交わす機会もあったという。